2017 Fiscal Year Research-status Report
尿路上皮癌由来尿中エクソソームにおける網羅的タンパク解析および新規治療薬の開発
Project/Area Number |
17K16788
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 恭介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90747081)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エクソソーム / 尿 / バイオマーカー / たんぱく |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱癌患者7例(表在癌3例、浸潤癌4例)および健常者4例の自然尿40mlと、同癌患者の摘除癌組織を浸した培養液から超遠心法を用いてエクソソームを抽出し、エクソソームタンパクに対してTMTラベル質量分析を用いた網羅的解析を行った。バイオマーカー候補タンパクは①尿中エクソソーム内でFold-change(癌患者vs健常者)>1.5、p-value<0.1、②癌組織分泌エクソソームで検出、という基準で選別した。同定された候補タンパクは別の70例(健常者30例、表在癌20例、浸潤癌20例)のコホートで、SRM/MRM質量分析を用いて尿中バイオマーカーとしての妥当性を検証した。【結果】TMTラベル化質量分析の結果、尿中、癌組織分泌エクソソームよりそれぞれ1960個、1538個のタンパクが検出された。その中から①癌患者の尿中エクソソームで上昇しているタンパク(Fold-change>2.0, p<0.1)、②癌組織分泌エクソソームの質量分析で検出されたタンパク、という2つの基準を満たす55個のタンパクをバイオマーカー候補として選別した。このうちBCEP1(bladder cancer exosomal protein1)は別の70例のコホートにおいても、癌患者の尿中エクソソーム内で有意に上昇しており(p<0.001)、癌のstageが上がるごとに上昇していた(p<0.05)。このBCEP1をバイオマーカーとして用いたROC曲線解析では、AUC=0.845(感度 72.5%、特異度 86.7%)と非常に良好な診断能を有しており、これは尿細胞診よりも良好な結果であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状として当初の予定通り、多検体での質量分析を行い、尿中エクソソーム内BCEP1が膀胱癌の診断バイオマーカーとして有望であることが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は尿中エクソソーム内BCEP1が良性疾患の血尿や膀胱炎と膀胱癌との鑑別ができるかを検証し、さらにBCEP1の阻害実験による癌の進展抑制の検証を予定している。
|
Causes of Carryover |
良性血尿や膀胱炎での尿中エクソソーム内BCEP1の発現を質量分析で測定するため。またBCEP1の阻害実験を行い、癌の進展への寄与を検証するため。
|