2018 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of renal cancer-specific mutations in circulating tumor DNA and its clinical application to liquid biopsy
Project/Area Number |
17K16789
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石津谷 祐 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00783854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 循環腫瘍DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、腎癌の診断や病勢のモニタリングはCTなどの画像診断によって行われており、確立したバイオマーカーは存在しない。簡便な診断、モニタリングを可能とする血液バイオマーカーの同定を目的とし、循環腫瘍DNAに着目し研究を行った。 公共のデータベースを用いて淡明細胞型腎細胞癌において一定の頻度で変異を認める遺伝子の中から、コピー数増幅の頻度が高い遺伝子、ドライバー遺伝子などに注目し、独自の遺伝子変異パネルを作成した。この遺伝子変異パネルを用いて、手術により摘出した淡明型腎細胞癌の癌ゲノムDNA及び淡明型腎細胞癌患者の血漿より抽出した血中遊離DNAのターゲットシークエンスを行った。癌ゲノムDNAにおいてVHL、PBRM1、TP53、TSC1(頻度順)などの変異を認めた。血中遊離DNAにおいてTP53、BAP1、VHL、TSC1(頻度順)などの変異を認めた。同一症例の癌ゲノムDNAと血中遊離DNAのシークエンスの結果、共通の変異のみならず、血中遊離DNAのみで同定し得た変異も存在した。 また、シークエンスを行った血中遊離DNAサンプルの断片長をマイクロチップ型電気泳動装置を用いて測定した。血中遊離DNAにおいて変異を同定し得た患者を循環腫瘍DNA陽性患者と定義し、循環腫瘍DNAの有無ならびに血中遊離DNAの断片長と予後の関連を検討したところ、循環腫瘍DNA陽性患者および血中遊離DNAの断片長が短い患者は、薬物治療の奏功期間が短かった。また、未治療時に血中遊離DNAを採取した症例の解析では、循環腫瘍DNA陽性患者ならびに断片長が短い患者は無増悪生存率や癌特異的生存率が有意に不良であった。以上の結果より、淡明型腎細胞患者において、循環腫瘍DNA陽性や血中遊離DNAの断片長は予後不良群を同定するためのバイオマーカーになり得る。
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