2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the resistance mechanism to the molecular targeting drug in renal cancer using the genome editing technology
Project/Area Number |
17K16799
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米森 雅也 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (00758013)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎癌 / CRISPR/Cas9 / PHGDH / 低酸素誘導因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素誘導因子(HIF) の恒常的な活性化は腎癌の進展のみでなく、腎癌治療に1st lineとして使用されているmTOR阻害剤や血管新生阻害剤の耐性獲得にも重要な役割を果たすとされている。そのため、治療抵抗性腎癌の治療戦略には、HIFを抑制した際に活性化される分子経路を遮断することが重要であると考えられる。現在HIFの阻害剤については未だに臨床応用されておらず、腎癌においてHIFを直接阻害した際の癌シグナルの動きはほとんどわかっていない。本研究は、CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術を用いて当科で作成したスニチニブ(マルチキナーゼ阻害剤)耐性HIFノックアウト腎癌細胞株を使用して腎癌の増殖・浸潤・転移および薬剤耐性に関わる癌シグナル経路を解明し、新たな治療戦略の基礎データを収集するものである。 本研究の研究成果として、HIFをノックアウトした際に、代謝リプログラミングが起こり代謝が解糖系からセリン合成経路に移行することを見出した。更にセリン合成経路で重要なPHGDHという遺伝子が治療標的になることを証明した。セリンはヌクレオチド、タンパク質、脂質の生合成に必要なアミノ酸であり、新たな癌細胞作成の材料としてセリンが必要とされることが予想された。また、公共データベースを用いた臨床統計解析を行ったところ、腎癌患者(n=524)において、PHGDHの遺伝子増幅群は全生存期間が有意に低下していた。つまり、初回治療時においても、その遺伝子増幅群を認める症例では治療標的となる可能性も示唆された。
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