2017 Fiscal Year Research-status Report
男性不妊症治療へ向けた精巣へのin vivo及びex vivo遺伝子導入法の確立
Project/Area Number |
17K16806
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩月 正一郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70595397)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精巣 / 精子形成 / 遺伝子導入 / 男性不妊症 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまで、難治性の男性不妊症患者に対する精巣内遺伝子導入治療への応用を目的として、in vivo遺伝子導入に関する研究を継続してきた。これまでのマウス精巣への遺伝子導入技術の確立に続き、より容量の大きなラット精巣への遺伝子導入技術の確立を目指して本研究を計画した。平成29年度には、(a)導入するベクタープラスミドの構築、(b)ベクタープラスミドの発現効果の検討、(c)ベクタープラスミドの複製と生成、(d)ラット精巣への導入条件の検討、の4点をおこなった。以下に概要を述べる。 (a) 導入するベクタープラスミドの構築:レポーター遺伝子として恒常的にGFPを発現するプラスミドを作成した。 (b) 作成したベクタープラスミドの発現効果の検討:ラット安定細胞株であるNRK-52E細胞に、(a)で作成したベクタープラスミドを、カチオンリポフェクション法で導入、蛍光顕微鏡で緑色に発光するGFPの発現を確認し、作成したベクタープラスミドがラット細胞内で発現することを確認した。 (c) ベクタープラスミドの複製と生成:宿主大腸菌に作成したベクタープラスミドを導入することで大量複製し、市販のキットを用いて必要量を適宜生成した。 (d) ラット精巣への導入条件の検討:作成したベクタープラスミドを、ラット精巣にin vivo導入した。以前私たちのマウス精巣に対する遺伝子導入の条件をもとに、いくつかの条件を検討した結果、50μgのベクタープラスミドを精巣実質に注入、矩形波電流、100V、1Hzで18回の電気刺激により導入することが最も効率がよいと考えられた。しかし同時に、導入効率などの定量評価を行うには効率が決して満足いくものではないことも明らかとなった。今後も検討を要すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で予定しているラット精巣へのin vivo遺伝子導入への試みまでは行うことができた。その効率については検討の余地はあると考えられる。しかし、本研究の最終目的は器官培養をした精巣組織片にex vivoで遺伝子導入を行うことである。平成29年度で作成したベクターを用いて、次年度以降への実験へ用いることができるため、おおむね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、器官培養した精巣組織に遺伝子導入を行うことを最終目標としている。このため、ラット精巣から採取した精巣組織を器官培養することを試みる。当初の計画通り、Sacrificeしたラットの精巣組織片を、種々の培養液において一定期間(3、6、9日間)培養後に回収する。回収した組織の組織学的変化を検討し、アポトーシスの評価を行う。用いる培養液は、Dulbecco’s Modified Eagle Medium (DMEM)、やKSR mediumの他、精巣由来細胞(セルトリ細胞やライディッヒ細胞など)株の培養に用いるF10 mediumやDMEM/F12 (1:1) mediumを使用する予定である。 組織片の期間培養は、その条件設定や用いる試薬の選択などに困難が生じることが予想される。適宜計画の見直し、研究協力者との協議を行い、方針を検討しながら研究を進行させる予定である。
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Causes of Carryover |
試行段階での生殖細胞への遺伝子導入が想定していたより効率が悪かったため、方法を見直していた。そのため研究計画が遅れ次年度使用額が生じた。 H30年度はより効率的にベクタープラスミドをラット精巣に導入できるプラスミドの大きさ、電気刺激の程度の条件を検討していきたい。
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