2018 Fiscal Year Research-status Report
男性不妊症治療へ向けた精巣へのin vivo及びex vivo遺伝子導入法の確立
Project/Area Number |
17K16806
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩月 正一郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (70595397)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精巣 / 器官培養 / 男性不妊症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ラット精巣組織を一定の間器官培養し、ex vivoで遺伝子を導入することを最終目標としている。昨年度はラット精巣へのin vivo遺伝子導入を試みた。平成30年度は精巣組織の器官培養法を確立することを主に計画し、研究をおこなった。 これまでの報告において、精巣組織の器官培養法についてはマウスを用いた研究が主であった。そこでまずはマウス精巣を用いた培養を試みた。麻酔下にマウス精巣組織片(約3mm立方)を採取し、DMEM/F10 (1:1) mediumを用いて培養し、day 0, 1, 2, 3, 5, 7日後に組織を回収し、組織を観察した。その結果、経時的に精巣組織障害が悪化し、2日目ごろに精細管組織の空胞化が最大となり、その後は精細管組織の壊死が進行することが分かった。さらに精巣組織片の間質における細胞構成の変化が明らかとなった。 同時に、精子形成の支持細胞であるセルトリ細胞またはライディッヒ細胞の細胞株(それぞれTM4細胞、TM3細胞)と精巣組織を共培養した研究も行った。この結果、ライディッヒ細胞株(TM3)が精巣組織と共培養したときに、TM3単独で培養したときと比較して、増加していることがわかった。 このようにマウス精巣組織の器官培養により、精巣組織のex vivoでの変化が明らかとなった。しかし、計画しているラット精巣の14日間の培養維持までには多くの条件の決定を要することが予想される。しかし、支持細胞と共培養により、精巣組織障害が進行するにつれて、何らかのparacrine因子により、ライディッヒ細胞の増生が観察されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画で立案したラット精巣の期間培養法の確立までには至っていない。しかしマウス精巣組織を器官培養した際の組織変化と、何らかの因子がLeydig細胞の増生をもたらすことが明らかとなった。 当初の予想以上に長期間にわたって器官培養を維持することが困難であった。様々な条件の設定が考えられるが、再現性のあるデータを得るためにはさらなる条件の検討が必須であると思われる。現状においては、器官培養下に遺伝子導入をex vivoでおこなったとしても、導入遺伝子の発現や組織変化の評価をするには適した条件ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初予定していたラット精巣の器官培養およびex vivo遺伝子導入法の確立へ向けた研究を進める予定である。私たちのグループ内外の研究者や、関連各機関からの情報収取やディスカッションが必要である。 しかし本年度の研究では精巣組織障害とライディッヒ細胞の増生の関係を示唆する結果が得られた。この組織変化は、日常の男性不妊症の患者精巣組織生検においてしばしばみられる変化と共通している。これらの副次的に得られた結果より、炎症細胞をはじめとした間質細胞の変化についての検討することも合わせて進めていく必要があるものと考えている。
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Causes of Carryover |
当初より研究計画の進行が遅れているため。追加検討のための試薬、培養液などが必要である。
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