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2017 Fiscal Year Research-status Report

浸潤性膀胱がんに対する磁性ナノ粒子と免疫治療を用いた新しい治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 17K16807
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

小林 大地  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80570704)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
KeywordsMCL thermotherapy / 免疫 / 浸潤性膀胱がん
Outline of Annual Research Achievements

浸潤性膀胱がんの根治的治療である膀胱全摘除術には尿路変更術が必要であり、患者のQOLは低下すると考えられる。そのため浸潤性膀胱がんに対し膀胱温存治療法の開発が期待されている。私たちはこれまでに、新たながん治療法として、磁性ナノ粒子(MCL)を用いてがん病巣のみを特異的に加温できるがん温熱治療法を開発し(MCL Thermotherapy)、前立腺がんをはじめ様々ながんに対する治療効果を報告してきた。ラット前立腺がん皮下移植モデルでの抗腫瘍効果、ヒト前立腺がん細胞株の腫瘍完全退縮、さらにラット前立腺がん頭頂骨モデル・大腿骨転移モデルにおける、強い腫瘍免疫活性の誘導を明らかにし、その過程でHSP70の発現とCD8陽性Tリンパ球誘導サイトカインであるIFN-γ,IL-2の発現増強が免疫賦活に関与することを証明した。
がん患者末梢血リンパ球は健常人に比べ、異常にT細胞応答が低下している。これは、宿主の免疫応答を抑制し、がんが増殖しやすい場を形成するための免疫逃避機構によるものである。がん細胞あるいは免疫担当細胞による免疫抑制因子の産生などが免疫逃避の主なメカニズムとして報告されている。近年、新たにPD-L1およびPD-L2が見出され、免疫バランス制御の新たなパラダイムが提唱されている。がん細胞に発現したPD-L1/PD-L2はT細胞に発現するPD-1と結合し、T細胞に抑制性シグナルを伝達している。その結合を阻害し、T細胞への抑制性シグナルを減少させることが重要である。
これまでの研究成果を踏まえて、局所制御に優れていMCL Thermotherapyとがん転移巣の制御に優れているがん免疫治療を融合させ、全身治療に応用することはできないかと考えた。MCL Thermotherapyとがん免疫治療を併用することにより、浸潤性膀胱がんに対する新たな膀胱温存根治治療の開発を目的とする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

MCL膀胱内注入温熱療法とがん免疫治療(抗PD-1抗体)の併用治療の浸潤性膀胱がんに対する治療効果を検討するために以下の研究を施行している。
①ヒト膀胱がん細胞株におけるMCLの吸着の検討:MCLは、正電荷を持つリン脂質にて被覆してあるため、負電化をもつ細胞との親和性が高い。当研究室にて保管しているヒト膀胱がん由来の4つの細胞株 (RT4, RT112, 5637, T24)におけるMCLの吸着および取り込みを走査型電子顕微鏡にて確認した。②ヒト膀胱がん細胞株におけるPD-L1の発現の検討:ヒト膀胱がん由来の4つの細胞株 (RT4, RT112, 5637, T24)におけるPD-L1の発現量を計測した。③高温度暴露によるヒト膀胱がん細胞株における免疫誘導サイトカイン/ PD-L1の発現の検討:がん細胞が死滅しない温度(43℃)に30分間暴露を繰り返し施行し、免疫誘導サイトカインおよびPD-L1の発現量を計測した。

Strategy for Future Research Activity

①研究計画を遂行するための研究体制:効率的に研究を進めるため、研究方法毎に研究者を分担する。また、指導的立場の医師が研究をコントロールしつつ、研究員がそれぞれの研究を個別に行い、定期的な研究報告会を行うことにより、研究の共有化をはかることとする。本研究は名古屋市立大学大学院医学研究科内にある泌尿器科研究室、共同研究室および動物実験研究施設にて行う。これら全ての実験には研究代表者・実験技術者が行い、教授の指導・監督のもとに研究を遂行していく。
②研究が当初の計画通り進まないときの対応:定期的に催される研究グループの報告会で研究の進捗状況、その方法を検証し、研究の方向性、妥当性を適宜検討する。問題が生じた場合には、その都度学内外の専門家より適切な指示を受け修正する。さらに当大学内の定期的な研究報告会で、研究の妥当性と進捗状況を他グループの研究者からも客観的に評価してもらい、研究を円滑に行うよう努める。研究計画を遂行するための研究体制について、研究代表者及び必要に応じて研究協力者との研究体制のもと、研究を行う。MCLの作成を中部大学小林猛先生の工学系技術のアドバイスをもとに共同研究で遂行し、学内の研究分担者とは毎週のミーティングを通し、進捗状況を報告しあい、適時、研究計画の見直しを行う。
具体的には、MCL膀胱内注入療法によるPD-L1/PD-L2の検討として腫瘍免疫については新たにPDL-1およびPDL-2が見出され、免疫バランス制御の新たなパラダイムが提唱されている。MCL膀胱内注入療法後に、交番磁場を2日おきに照射し、がん細胞由来のPD-L1/PD-L2の発現について検討する。

Causes of Carryover

本研究の核となる免疫チェック阻害薬の選定が適切でないことが判明したため、再度選定し直した。そのため研究計画が遅れ次年度使用額が生じた
ヒト膀胱癌細胞株を購入し免疫誘導サイトカインの発現の検討、高温度暴露によるヒト膀胱癌細部株における免疫誘導サイトカイン/PD-L1の発現の検討をもう一度行っていく。

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Published: 2018-12-17  

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