2018 Fiscal Year Research-status Report
The role of oncostatin M in urinary stone formation
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17K16810
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山下 真平 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20725569)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オンコスタチンM / 尿路結石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、尿路結石の形成・消失過程におけるオンコスタチンM(OSM)の役割を明らかにすることである。 昨年度、野生型マウス(C57BL/6J)を用いた結石モデルにおけるOSMおよびOSM receprorβ(OSMRβ)の遺伝子発現に関する検討、およびOSMRβ遺伝子欠損マウス(OSMRβ-/-マウス)を用いた結石にモデルにおけるコントロールマウス(OSMRβ+/+マウス)との比較検討を行ったところ、野生型マウスを用いた結石モデルにおいては結晶沈着量の増加に伴ってOSMおよびOSMRβの発現が増加すること、OSMRβ-/-マウスにおいてはコントロールマウスと比較して、結晶沈着量が有意に抑制されることが明らかとなり、OSMが尿路結石の形成過程において、何らかの形成促進作用を有していることが示唆された。 平成30年度は、OSMが結石形成を促進する機序を明らかにするために引き続き実験を行い、OSMRβが野生型マウスを用いた結石形成モデルにおいて尿細管上皮および間質の線維芽細胞に発現していること、コントロールマウスに比べてOSMRβ-/-マウスでTNF-αなどの炎症性サイトカインやOPN、ANX2といったcrystal binding protein関連遺伝子の発現が有意に減少していることが明らかとなった。 現在のところ、尿路結石形成の明確な機序は明らかとなっておらず、また、尿路結石の中でも主要な結石成分であるシュウ酸カルシウム含有結石についても自排石困難な場合は外科的砕石治療を行わざるをえないのが現状である。今後、OSMが結石形成・消失過程においてどのような役割を行っているかが明らかとなれば、尿路結石症の新たな発症機序の分子細胞生物学的解明という観点から、非常に特色のある研究になると考えられ、本研究の成果が、分子細胞生物学的エビデンスに立脚した新規の尿路結石治療薬の開発につながる第一歩となる可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本学第二解剖学教室でのこれまでの研究結果から、マウスの脂肪組織においてOSM がマクロファージの表現型を炎症性のM1 型から抗炎症性のM2 型に偏向させることが明らかとなっている。また、近年、結石形成・消失過程におけるM1/M2マクロファージの働きの違いも注目を集めており、結石モデルマウスを用いた基礎研究から腎組織におけるM1 型マクロファージによる炎症反応増加が尿路結石形成を促進し、抗炎症性のM2 型マクロファージが結石貪食に関わることが報告され、話題となっている。 上記の背景から、当初はOSMが腎組織においてもマクロファージに作用し、M1 型をM2型に偏向させることによって尿路結石形成が抑制されるのではないかという仮説をたて、本研究を立案した。 昨年度、本年度と研究実施計画の内容を順調に行い、当初の仮説に反して、OSMが結石形成促進作用を有していること、野生型マウスを用いた結石形成モデルにおいてOSMRβが尿細管上皮および間質の線維芽細胞に発現していること、コントロールマウスに比べてOSMRβ-/0マウスでTNF-αなどの炎症性サイトカインやOPN、ANX2といったcrystal binding protein関連遺伝子の発現が有意に減少していることが明らかとなった。 以上の経過から、現時点ではおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、結石形成・消失過程の腎臓におけるマクロファージの細胞数と、M1 型およびM2 型の比率をフローサイトメトリーにより解析すること、結石モデルマウスからマクロファージや尿細管上皮、線維芽細胞などの細胞を分離し、それらの細胞をOSMで刺激することによる結石形成関連遺伝子や炎症性サイトカインの変化を解析すること、野生型結石モデルに対し抗OSMRβ抗体を投与することによって結石形成を抑制できるかどうかについて実験を行うことにより、さらなる検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
概ね予定通り実験は進行しておりますが、当初の仮説とは異なる研究結果が出たことから、若干の研究計画のずれが生じたためと考えています。今年度の研究結果を受け、次年度以降は請求した助成金と合わせ、先述した実験計画に沿って使用する予定です。
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