2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K16826
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
清野 学 山形大学, 医学部, 助教 (40594320)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 化学療法耐性 / パクリタキセル / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌は予後不良の疾患である。特に化学療法耐性を獲得した再発卵巣癌は治療抵抗性を示し根治は非常に困難である。我々は卵巣癌の治療に通常用いられるパクリタキセルに着目し、パクリタキセルに対する化学療法耐性獲得のメカニズムを明らかにすることを目指し研究を行っている。研究手法として、近年着目されているメタボローム解析を行った。メタボローム解析を行うことで癌細胞内の様々な代謝産物を解析することで、細胞内の代謝経路の変化を知ることで化学療法耐性のメカニズムを解明できる可能性がある。 まずヒト卵巣癌細胞株に臨床で用いる濃度のパクリタキセルを3か月間暴露した細胞と、親株の細胞のメタボローム解析を行った。我々の以前の研究では、子宮体癌の化学療法耐性にグルタチオンおよび解糖系が関わっている可能性が示されているが、今回の卵巣癌細胞を用いたメタボローム解析では子宮体癌とは異なりグルタチオンや解糖系について大きな差は認めなかった。同時にそれぞれの細胞株にパクリタキセルを投与した際のメタボローム解析を行った。パクリタキセル投与により、それぞれの細胞はグルタチオンや解糖系経路の代謝産物は増加していた。パクリタキセル暴露細胞と親株で変化があった点はエネルギー産生の基本であるTCAサイクルである。親株細胞ではパクリタキセル投与によりTCAサイクル代謝産物が増加していたが、パクリタキセル暴露細胞では変化していなかった。このことからパクリタキセルの持続暴露に伴いTCAサイクルの上流のシグナルが抑制され、そのことがパクリタキセル耐性と結びつく可能性が示唆された。今後、TCAサイクルがパクリタキセル耐性に関与するかを中心に研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である卵巣癌細胞のパクリタキセル処理後反応に関するメタボローム解析を実施できたため、順調に進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のメタボローム解析結果をさらに詳細に検討し、パクリタキセル耐性獲得の原因となるような代謝経路を見出す。その後、TCAサイクルを含め、その代謝経路を薬理学的・遺伝学的に抑制した際の化学療法に対する効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度である平成29年度では主にメタボローム解析を中心に研究を施行した。次年度である本年度ではさらに詳細な代謝経路解析を別の手法で明らかにしたいと考えており、その研究費のために次年度使用額が生じた。
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