2017 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌における糖転移酵素C2GnT1発現と機能の解析
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17K16841
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山田 靖 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60646652)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | C2GnT1 / 卵巣癌 / O-グリカン鎖 / 明細胞癌 / 粘液性癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖のうち、O-グリカン鎖のcore2分枝構造の形成に係わる酵素Core 2 β1-6 N-acetylglucosaminyl transferase 1 (C2GnT1)は、腫瘍細胞の悪性形質の獲得に重要な役割をもつと考えられている。我々はこれまでに子宮内膜癌において、C2GnT1高発現が独立した予後因子であることを報告した。本研究では、卵巣癌におけるC2GnT1発現とそれにより形成される糖鎖構造の機能を解析し、新規治療ターゲットとなる可能性を検討することを目的とする。C2GnT1抗体を用いた免疫染色による検討では、腫瘍細胞中の染色陽性細胞の割合は、漿液性癌 26.8、明細胞癌 72.5、類内膜癌 47.5、粘液性癌 66.8 と、漿液性癌で低く、明細胞癌、粘液性癌で高い傾向を認め、組織型により発現が異なると考えられた。卵巣癌全体での予後解析では、陽性率の高低と予後との関連性は認められなかったが、一般的に抗がん剤耐性である明細胞癌、粘液性癌で発現が強いことから、抗がん剤耐性への関与が考えられた。 また細胞株での検討では、子宮内膜癌細胞株HHUA、Ishikawa、HEC1B、卵巣癌細胞株A2780、SKOV3、子宮頸癌細胞株CaSKiでのC2GnT1 mRNA発現を確認した。C2GnT1発現の弱いCOS7細胞にC2GnT1 cDNAを遺伝子導入、RT-PCR、Western blottingおよび蛍光免疫染色で発現増強を確認した。今後これらの細胞を用い、siRNAやCRISPR法でC2GnT1の発現を変化させることにより、細胞機能がどのように変化するかを検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、臨床検体での検討と、細胞株での検討を進められており、C2GnT1高発現細胞株を明らかにしている。今後、C2GnT1高発現株であるES2、A2780、OVCARにおいてC2GnT1発現をsiRNA/shRNA法でknock-down、もしくはCRISPR法でknock-outすることによる、細胞機能の変化を検討する
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に実験計画に沿って、研究を進めていく。次年度は主に細胞株を用い、強制高発現および、siRNAによるknock-down、もしくはCRISPR法によるknock-outによるC2GnT1発現変化の細胞機能への影響や糖鎖発現状態の変化について検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた免疫染色の調整で遅延が生じたため次年度使用額が生じた。
次年度使用額は平成30年度請求額と合わせて、細胞培養とsiRNAやCRISPRによる遺伝子発現変化させる実験のための消耗品費として使用する予定である。
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