2017 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞癌および婦人科難治癌の原因遺伝子のcDNAライブラリーによる探索
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17K16842
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樋口 正太郎 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (50750098)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 難治性婦人科癌 / 機能遺伝子スクリーニング / cDNAライブラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
婦人科悪性腫瘍ではTP53やPTENなどの癌抑制遺伝子の高率な機能喪失は報告されているが、Driver変異が明らかになっていないことから、分子標的治療が進んでいない。本研究では、難治性癌や再発癌組織より抽出したmRNAからレトロウイルスベクターによるcDNA ライブラリーを作成し、これをNIH3T3細胞に感染させて形成された形質転換コロニーをpick upし、導入された遺伝子を同定することで形質転換能を持つ遺伝子を選別する機能遺伝子スクリーニング法を用いる。そして、これにより婦人科癌の発癌や抗癌剤耐性に関与する新規遺伝子や遺伝子変異の同定およびその分子機序を解明することを目的とする。 これまでに23例の難治性婦人科悪性腫瘍組織{卵巣がん9例、子宮頸がん3例(うち小細胞神経内分泌癌1例)、子宮体がん11例(うち癌肉腫1例、肉腫2例)}よりmRNAを抽出し、レトロウイルスベクターによるcDNAライブラリーを作成した。これをNIH3T3細胞に遺伝子導入し、形質転換能を持つ遺伝子の同定を進めている。これまでに複数の形質転換能をもつ遺伝子が同定され、NIH3T3細胞に導入して、形質転換能の確認を行っているが、肺腺癌におけるALK融合遺伝子のような強力なDriver遺伝子は今のところ発見できていない。 今後、これらのがんの機能遺伝子スクリーニングを継続していく予定である。さらに、抗がん剤感受性細胞株に抗がん剤耐性再発癌組織のcDNAライブラリーを導入し、抗がん剤投与下に抗がん剤耐性コロニーを形成させ、そこから抗がん剤耐性を誘導する遺伝子を同定することも進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
難治性癌組織からのmRNA抽出やcDNAライブラリー調整など、技術的に困難なところを概ね順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これらのがんの機能遺伝子スクリーニングを継続していく予定である。さらに、抗がん剤感受性細胞株に抗がん剤耐性再発癌組織のcDNAライブラリーを導入し、抗がん剤投与下に抗がん剤耐性コロニーを形成させ、そこから抗がん剤耐性を誘導する遺伝子を同定することも進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
次年度使用額は平成30年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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