2017 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境の免疫因子解明に基づく難治性絨毛癌の新規治療戦略
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17K16845
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 薫 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20571334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 絨毛癌 / CGnT / 化学療法耐性株 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
絨毛癌細胞株を用いて抗癌剤耐性株の作成を試みた。また絨毛癌における免疫状態の評価を免疫組織学的染色にて行った。さらに、絨毛癌細胞株JarでC2GnTノックアウト細胞を作製し、in vitroでのC2GnT発現が及ぼすNK細胞からの逃避機構を調べた。 (1)化学療法耐性株を作成した。絨毛癌細胞株のJar細胞にメトトレキサート(MTX)を少量含む培養液で培養し、徐々にMTXの量を増やしてMTX耐性株を作成した。別の絨毛癌細胞株のBeWo細胞に対しても同様の手技を用いてMTX耐性株を作成した。 (2)絨毛性疾患(胞状奇胎と絨毛癌)および胎盤組織を用いて、パラフィン包埋ブロックより組織切片を作成した。T細胞表面マーカーのCD8抗体、NK細胞表面マーカーのCD57の抗体を用いて免疫組織染色を施行した。絨毛性疾患組織、胎盤組織ではCD8陽性リンパ球が少なく、NK細胞が多い傾向にあった。 (3)C2GnTの機能解析を行うために発現抑制モデルが必要である。絨毛癌細胞株Jarに、CRISPR cas9システムを利用してC2GnT ノックアウト細胞を作製した。これらの遺伝子編集細胞株におけるC2GnTの発現量をウエスタンブロットで解析し、発現抑制の確認を行ったところ、C2GnTの発現抑制を確認できた。別の絨毛癌細胞であるBeWo細胞にも、CRISPR cas9システム同様に遺伝子導入を施行し、C2GnTの発現抑制を確認した。C2GnTノックアウト細胞のin vitroにおけるNK細胞傷害性をLDH cytotoxicity detection kitを用いてC2GnT発現が正常であるコントロール細胞と比較した。C2GnTノックアウト細胞ではNK細胞傷害性が有意に高いという結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた化学療法耐性株はMTX耐性株しか作成できず、まだ評価も行っていない段階である。また、免疫状態を評価する免疫染色はなかなか抗体による条件設定が難しく、すべては施行できていない。 しかし、平成30年度以降に予定していたC2GnTノックアウト細胞の作成とそれを用いたin vitroでの実験を先に進めることができたため、研究の進行としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
絨毛癌の化学療法耐性株として、アクチノマイシンD耐性株、エトポシド耐性株を作成していく予定である。 また、抗体の種類を代えて、絨毛癌の微小免疫状態を評価するリンパ球や免疫関連分子の免疫組織学的染色を行う。 さらに、C2GnTノックアウト細胞株を用いてin vitroの実験をすすめていく。
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