2019 Fiscal Year Research-status Report
卵子エキソソームを介する配偶子膜融合(受精)メカニズムの解析と生殖医療への応用
Project/Area Number |
17K16850
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
吉田 恵一 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 次世代がん医療開発センター 副センター長 (90365437)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 受精 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は受精、特に膜融合に関わる制御因子として、卵子エキソソームが必要不可欠であることを示した。卵子エクソソームが先体反応後の精子と反応(接着・付着)することで受精が可能となることを明らかにした。本研究では、このプロセスを解明するために先体反応後に精子頭部に露出され、受精過程(特に精子と卵子の相互作用)に関連する分子との関連を探り、精子-卵子エキソソーム-卵子の相互作用を解析する。 これまでに本研究を実施する上で基盤となる実験材料の収集法の確立に取組み、卵子の回収法及び卵子から放出されるエクソソームの回収を安定的に実施するための実験系の確立を試みてきた。 1)安定的な野生型マウスの効率的な未受精卵の回収:卵子から放出されるエクソソームに含まれる構成タンパク質を解析するために、多量の未受精卵を回収するため適切な過排卵処理を行い、安定した卵子を採取するために諸条件を検討し、安定したマウス卵子の回収方法を確立した。 2)卵子由来エクソソームの回収:前施設で確立した未受精卵を酸性タイロード液処理法または酵素処理によって透明帯を除去し、卵子エクソソームが含まれる溶液(培養液)を回収した。また、回収した培養液をウエスタンブロット法に供しエクソソームのマーカータンパク質(CD9分子等)や受精に関わる分子を検出し、回収した培養液に卵子エクソソームが存在することを確認した。 3)関連領域に関する研究:本研究に関連する研究として、精子の尾部タンパク質の一種であるODF2遺伝子の解析を行った。ODF2遺伝子KOマウスを作製し、ODF2遺伝子がハプロ不全(Haploinsufficiency)を呈することを明らかにした。具体的な表現型としてODF2遺伝子のヘテロ個体からは精子頭部と尾部が分離した精子が観察されたことから、ODF2タンパク質は精子頭部尾部の接合に重要な役割を担うことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い、本研究を遂行するための研究実施体制(他施設の研究者との連携、実験機器等の整備)の構築が予定より遅れた。また、他の業務の多忙によって、計画に定めたスケジュールに従った実験を遂行できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該補助事業研究期間を延長した。本年度より、他施設の研究協力者との連携が可能となるため、研究実施体制を整備するとともに研究を推進する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動に伴い、他の業務の多忙によって、本研究を遂行するための研究実施体制(他施設の研究者との連携、実験機器等の整備)の構築が予定より大幅に遅れ、計画に定めたスケジュールに従った実験を遂行できなかったために次年度使用額が生じた。本年度より、他施設の研究協力者との連携が可能となるため、研究実施体制を整備するとともに研究を推進する。
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