2017 Fiscal Year Research-status Report
高悪性度漿液性卵巣癌の発癌初期における分子機構の解明
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17K16851
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中村 康平 島根大学, 医学部, 助教 (10775802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / 漿液性卵巣癌 / STIC / 発癌機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣高悪性度漿液性癌(HGSOC)の卵管上皮起源説が注目されている。我々は以前に、癌化に必要な3つの遺伝子異常(p53/KRAS/c-Myc or Akt)を同定し、卵管采上皮不死化細胞株を用いたin vitro発癌モデルを構築した。発癌初期病変であるSerous tubal intraepithelial carcinoma (STIC) におけるp53以外の癌化に関わるシグナル異常は明らかとされていない。今回我々は、発癌初期病変であるSTICにおけるシグナル異常の同定、及び実験的検証を目的とした。 HGSOC症例におけるSTIC部位でのRAS/ERK, PI3K/AKT pathwayの活性化について免疫染色にて検討した。また、STICモデル細胞株(卵管采上皮不死化細胞株+Dominant negative p53)におけるエストロゲン、または卵胞液による直接刺激によるシグナルトランスダクションを検討した。 HGSOC 24症例中、11例(46%)にSTICを認めた。STIC部位では10/11例(91%)においてphosphorylated (p-) ERK発現の上昇を認めたが、p-Akt発現は3/11例(27%)のみであった。STICモデル細胞にてEstrogen receptorの発現陽性をウエスタンブロットにて確認した。STICモデル細胞にエストロゲン、卵胞液による直接刺激を与えたところ、いずれにおいてもp-ERK発現の上昇を認めた。さらに上記刺激によりSTICモデル細胞の細胞増殖能が著しく亢進した。 STICではp53変異のみならず、すでにRAS/ERK pathwayの活性化が生じていることが明らかとなった。エストロゲン刺激によりp-ERK発現上昇をきたすことから、卵管采への排卵時の卵胞液による刺激がHGSOC発癌の初期段階に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に沿い、計画通りに研究を遂行できているため
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画書に沿い、研究を進めていく予定である。
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