2018 Fiscal Year Research-status Report
HPV維持複製における初期遺伝子群の発現解析:新規抗ウイルス薬への応用
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17K16869
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村上 功 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70445237)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低リスク型ヒトパピローマウイルス / 高リスク型ヒトパピローマウイルス / E1 / E6 / E7 / 生活環 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はnormal immortal keratinocytes (NIKS)にHPV11とHPV16を導入し、恒常的にHPVが発現しているNIKSの作製に成功した。平成30年度はさらに各々のHPV初期遺伝子と複製の関連を検討するためE1/E6/E7 deficient HPV11とHPV16をNIKSに導入し、昨年度と同様に7days assayを行った。 HPVを導入したNIKSをday1からday7まで培養し細胞を回収、AllPrep DNA/RNA/Protein Mini Kitを用いてDNA、RNA、タンパク質を抽出した。抽出したDNAから定量PCRにてゲノムコピー数を測定した。E6とE7 deficient HPVではHPV11、HPV16ともにday7(confluent後)でゲノムコピー数が維持されたのに対し、E1 deficient HPVではHPV11、HPV16ともにday7でゲノムコピー数の減少が認められた。これらの結果より、HPV11、HPV16ともに宿主細胞の密度依存性にE1依存性の複製からE1非依存性の複製へ移行していることが分かった。 次にHPV11E6、HPV11E7、HPV16E6、HPV16E7を発現させたNIKSにHPV11を導入し、7days assayを行った。すると、全ての細胞株でHPV11ゲノムの維持が認められた。これらの結果よりHPV11E6とE7は、HPV16E6、E7と同様の機能を有していることが分かった。 7days assayで回収した細胞からRNAを抽出しE6の発現を確認した。HPV16ではE6はday1からday7まで発現しているのに対し、HPV11ではE6の発現を認めなかった。これらの結果よりHPV11とHPV16においてE6とE7の機能に差を認めるのではなく、発現に差を認めることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度に引き続き、NIKSに様々なHPVを導入し7days assayによりDNA、RNAを回収した。現在までE1はHPVの複製に必須であるとされてきたが、本研究により細胞密度依存性にE1依存性の複製からE1非依存性の複製へ移行していることが明らかになった。また、7days assayではDNA、RNAを同時に回収し解析できる利点を活用し、HPV11とHPV16においてE6とE7の機能に差を認めるのではなく、発現に差を認めるという新しい知見を見出した。 以上より、研究の系は確立しており新しい知見を発見している。そのためおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究結果よりHPV11とHPV16で,E6の機能に差は認めず発現パターンに差を認めることを発見した。また、HPV11、HPV16ともに宿主細胞の密度依存性にE1依存性の複製からE1非依存性の複製へ移行していることが分かった。これらは新しい知見であり、今までのHPV生活環の常識を覆す結果である。再現性を高めるためHPV41(低リスク)とHPV18(高リスク)を用い同様な検討を行う必要がある。また臨床検体、可能であれば作成したHPVを導入したNIKSを用いたraft cultureで、宿主細胞の角化や密度の変化によるHPV複製の変化に関して実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額が生じた理由としては、予定していた学会へ都合により参加出来なかったため。また前年度に購入した試薬を本年度使用し、また足りない試薬は翌年度に購入することになったためである。 現在までの研究結果よりHPV11とHPV16で,E6の機能に差は認めず発現パターンに差を認めることを発見した。また、HPV11、HPV16ともに宿主細胞の密度依存性にE1依存性の複製からE1非依存性の複製へ移行していることが分かった。これらは新しい知見であり、今までのHPV生活環の常識を覆す結果である。再現性を高めるためHPV41(低リスク)とHPV18(高リスク)を用い同様な検討を行う必要がある。また臨床検体、可能であれば作成したHPVを導入したNIKSを用いたraft cultureで、宿主細胞の角化や密度の変化によるHPV複製の変化に関して実験を行う予定である。 来年度に論文を投稿予定のため投稿費が必要となると考えられる(準備中)。 また演題が採択された学会を含め4つの国内・国際学会の発表を予定しており参加費が必要予定である。
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Research Products
(3 results)