2017 Fiscal Year Research-status Report
predictive molecular marker for implantaion in ICF-ET
Project/Area Number |
17K16872
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
河合 智之 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (00767311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不妊 / 着床 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では体外受精における成功・不成功を予知する母体側の分子診断マーカーの開発を目指す。体外受精の成功・不成功の患者群において、頸管粘液に分泌されるmiRNAの発現が異なることを明らかにした。体外受精後に結果的に妊娠した5例と妊娠しなかった8例の採卵時の検体を用い、マイクロアレイにて網羅的miRNAの解析を行った。その結果20種類のmiRNAが抽出された。そのなかで特に両群間で得られた発現レベルの値の差が大きいmiR-376a-3p,-6739-3p,-4648はそれぞれ、妊娠群を1とした場合に、18.3,9.6,5.2倍の値を示した。この3種のmiRNAについてはrealtime RT-PCR法でその発現量を解析したところ、それぞれ、妊娠時に比べ、3.2,3,6,1,3倍の値を示し、マイクロアレイの結果を裏付ける結果となった。そこで、この3種のmiRNAの共通ターゲットを探索するためにin silico解析を行ったところ、42種類の標的タンパク分子が挙げられた。そのなかで、特に接着や着床に関連があるIGF1R,BMPR2,PALG1について妊娠、非妊娠患者の多数検体を用い、realtime RT-PCR法を用いて両群間で発現の違いを検討した。しかしながら、いずれの分子においても妊娠と非妊娠群では遺伝子発現レベルの差を認めなかった。このことは今回選択されたmiRNAは遺伝子発現調節の段階でなく、翻訳の段階で調節している可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では4つの課題に分けている。1)体外受精の成功・不成功の患者群において、頸管粘液に分泌されるmiRNAの発現が異なることを明らかにする。(2)候補となるmiRNAが血清中にも検出可能か解析し、血清診断としての有用性を検証する。(3)miRNA標的タンパクの着床における分子機構の解明をおこなう。(4)miRNA標的タンパクと関連したタンパクの発現が着床に関する診断薬として有用か否かを解析する。進捗状況として、(1)体外受精の成功・不成功の患者群において、頸管粘液に分泌されるmiRNAの発現が異なることを明らかにした。その標的タンパクは妊娠と非妊娠群では遺伝子発現レベルでは有意差を認めなかった。このことは今回選択されたmiRNAは標的遺伝子の発現調節でなく、翻訳調節にかかわっている可能性を示唆している。(2)血清診断としての有用性を検証することについては解析準備中である。(3,4)着床における妊娠と非妊娠における分子機構の違いを明らかにすることは重要である。そこで、子宮外妊娠患者の子宮内膜と非妊娠患者の子宮内膜における遺伝子発現の違いを調べることにした。両群における検体を複数採取したのち、プール検体として両群間における遺伝子発現の違いをRNA-sequenceを用い網羅的に解析した。その結果、IGF1R,BMPR2,PALG1においては、その遺伝子発現レベルの変化は両群において認められなかった。やはり、これらの分子は遺伝子発現レベルでなく、翻訳調節にかかわっている可能性がある。一方、RNA-sequence解析では新たにプロスタグランジン合成に関連する遺伝子発現の違いを認めた。この分子は先行研究においてマウス妊娠初期において重要な働きをしていることが明らかになっている。今回の我々の結果からもヒトでも同様の働きをしている可能性があり、更なる解析を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
体外受精における妊娠、非妊娠の群においてmiRNA発現プロファイルが異なることがわかり、そのターゲット分子も明らかとなった。そこで、標的タンパクの機能解析については培養細胞を用い、miRNAに対するmimic遺伝子を導入し、ターゲットタンパクの発現レベルの変化をウエスタンブロット法で解析する予定である。さらに、マウス受精卵を用い、標的タンパクの発現レベルの違いが子宮内膜に対する接着や着床にどのように影響を与えるのか、接着モデル実験法を用いて解析する。血清診断については、適切な検体を用いマイクロアレイにて網羅的解析を行い、その後、realtime RT-PCR法を行い、その正当性を確認してゆく。
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[Journal Article] 高度ダグラス窩癒着症例に対する子宮全摘術-Three-step total laparoscopic hysterectomy-の手術成績2017
Author(s)
野田 佳照, 廣田 穰, 秋田 絵理, 大脇 晶子, 宮崎 純, 河合 智之, 坂部 慶子, 伊藤 真友子, 大谷 清香, 藤井 多久磨, 小川 千紗, 酒向 隆博
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Journal Title
東海産婦人科内視鏡手術研究会雑誌
Volume: 5
Pages: 53-60
Peer Reviewed / Open Access
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