2017 Fiscal Year Research-status Report
The utility of ultrasound and biochemical markers for the purpose of predicting cardiac failure in recipient's fetuses in twin-twin transfusion syndrome.
Project/Area Number |
17K16875
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
村田 晋 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00420521)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 双胎間輸血症候群 / 胎児治療 / 心不全 / 羊水 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究目的の概略)双胎間輸血症候群(以下TTTS)は予後不良の疾患であったが、現在は胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(以下FLP)が第一選択治療法となり、児の予後は飛躍的に向上した。しかし、特に受血児ではレーザー治療後であっても胎内において一定の心負荷の影響で、出生後に肺動脈狭窄などの心疾患を発症することがある。現時点では、このような心疾患を胎児期に予期することは難しい。今回の研究では、FLPを行う前後の胎児超音波心機能評価と、手術時に採取した受血児羊水による心不全マーカー値から、新生児期発症の肺動脈狭窄を予知できるかどうか検討した。 (平成29年度研究実績の概要) 1. FLP施行時の母体・胎児情報の取得に関して FLPを施行した妊婦のうち、29例において臨床研究参加の同意を得た。このため、手術時の母体・胎児情報は29例全例において取得している。今後も研究期間内に臨床研究に参加可能な妊婦は登録を行う見込みである。 2. FLP前後における胎児血流計測データの集積、比較検討について 当該臨床研究に対する同意を得て胎児超音波計測を施行したのは17例であった。17例では統計学的検討は難しく、次年度以降の課題とした。 3. 手術時受血児羊水中NT-proBNPの測定 臨床研究参加の同意を得た17例中、7例において羊水中心不全マーカーの計測が可能であった。2と同様、統計学的処理を行うには症例数が乏しく、次年度以降も蓄積し解析を行う予定である。 4. FLPによる治療効果を反映させる母体マーカーの網羅的探究 現在のところ計測は行っていない。 5. 統計処理 上記2.3での記載の通り、いまだ症例の蓄積は不十分である。今後症例を蓄積し平成30年度以降に統計学的処理を開始する予定とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TTTSに対するFLPは川崎医科大学において、年間10~15例前後の症例数であると見込まれる。このため、後方指的検討を含め29例の妊婦から研究参加の同意を得、超音波検査による計測数が17例であったことは、比較的妥当な進捗状況と判断できる。羊水中の心不全マーカー計測が7例に留まった理由は、検体の状態が悪く採取できなかった事例、供血児の羊水が混入していると判断した事例などが含まれているため、検体採取の実数は超音波計測の症例数に比べ少ない結果となった。 今後も症例数を蓄積し今後の統計学的解析につなげる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では順調に手術症例数が蓄積され、手術前後の母体に関する臨床データ集積については問題点がない。しかし、胎児心機能検査であるtei-indexの計測や、手術前・手術後の心機能を間接的に評価できる超音波測定に関しては、17例にとどまっている。この点に関しては、TTTSの手術は原則緊急手術であり、時間的余裕がないため測定が不十分であることはやむを得ない点もある。しかし、今後統計学的検討へ移行する点から、研究協力者と相談し測定内容の再検討も考慮する。さらに、超音波測定は基本的に手術執刀医が兼任し、手術前後に全て施行しているが、今後はデータ集積の完遂を企図し、研究協力者にも測定を依頼するなどの方策の変更を検討する。さらに、データ集積方法や解析に問題が生じるようであれば、適宜科内のカンファレンスなどを行い修正を怠らない様に努める。
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Causes of Carryover |
平成29年度の段階では、胎児超音波パルスドプラ法で得られた測定値、または母体・胎児の臨床情報などの解析を行う為のパーソナルコンピューターと、データの統計処理及び論文作成、学会発表の資料作成のためのアプリケーションの購入には至っていない。また、NT-proBNPなどの羊水中生化学マーカーの測定に関してはELISAキット測定ではなく、症例数が少なく、さらに検体数が少ないため、検査値の正確性を考慮し外部業者への委託計測を依頼している。このため、平成30年度の請求額と合わせて追加で上記物品の購入予定である。
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