2018 Fiscal Year Research-status Report
The management for external auditory canal squamous cell carcinoma based on genomic and proteomic analysis
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17K16883
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 真也 北海道大学, 大学病院, 助教 (80443951)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外耳道癌 / EGFR / Notch |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究にて、外耳道癌組織における遺伝子解析で、p53、EGFR、cyclin D1、p16、NOTCHの発現異常が確認された。今年度はこの結果をもとに、遺伝子変異および発現異常と臨床的側面(病期進行、予後など)との関連性を明らかにすることを計画した。 癌組織におけるp53陽性については、有意にPittsburgh分類のT因子と相関を示した(p=0.042)。また、癌組織におけるEGFR陽性については、有意にPittsburgh分類のTおよびN因子と相関を示した(p=0.004、p=0.017)。癌組織におけるEGFR陽性群の5年粗生存率は48.1%であり、EGFR陰性群の92.9%と比較して有意に予後不良であった(p=0.015)。また、癌組織におけるNotch1陽性群の5年粗生存率は25.0%であり、Notch1陰性群の75.7%と比較して有意に予後不良であった(p=0.025)。 頭頸部癌以外にも多くの上皮系、間葉系、神経系の癌種において、EGFRの過剰発現は腫瘍増殖、浸潤、転移に関与し、有用な予後規定因子の可能性も報告されており、放射線治療や化学療法に対して耐性を示すとされる。そのため、他の癌種と同様にEGFRをターゲットにした分子標的薬による個別化医療に関しては検討の余地があり、外耳道癌の生存率向上に対して重要な治療法の一つとなることが期待される。また、Notch1の過剰発現は頭頸部癌扁平上皮癌において腫瘍増殖、浸潤、転移に関与し、予後規定因子の可能性も示唆される。同様に外耳道癌に対しても、Notchのリガンド結合部位をターゲットにした分子標的薬の開発による次世代の個別化医療が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外耳道癌は100万人に1人の希少疾患であるため、症例集積が困難であることが知られている。効率よく解析可能な一定数の検体を集積するのに時間を要したため、進捗状況がやや遅れるという結果になった。
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Strategy for Future Research Activity |
外耳道癌の病期進行、予後、治療抵抗性などに関与している遺伝子としてEGFRおよびNotch1が予測された。今後は、治療の標的として考えられるこれらの分子を外耳道皮膚細胞株に形質導入し、細胞の機能変化(細胞増殖、腫瘍形成、浸潤)を検討する。また、これらの分子が発現している外耳道癌細胞株を樹立し、それらに対する分子標的薬で処理することで、分子標的治療の有効性について検証を行う。
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Causes of Carryover |
別財源を出張旅費・物品購入費用に充てることが可能となったため、当初の予定より出費が抑えられた。 平成31年度は高額機器購入・海外学会参加の予定があるため、平成30年度より繰り越した直接経費がそれらに充てられる見通しである。
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