13価肺炎球菌ワクチン導入後に小児急性中耳炎から分離した肺炎球菌の分子疫学的解析

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K16885
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 小澤 大樹 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80792267)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 急性中耳炎 / 肺炎球菌 / 血清型 / 薬剤感受性 / 13価肺炎球菌ワクチン

Outline of Annual Research Achievements

本研究では13価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV13)が本邦の小児急性中耳炎に与えた影響を評価すべく平成29年度から東北労災病院において0-3歳児の急性中耳炎児の中耳貯留液から分離された肺炎球菌の収集を行っている。菌株の収集は平成29年度から平成30年度にまたがって行う計画であるが、平成30年度末時点で収集菌株数は目標である80菌株に到達しており、予定通り平成30年度で菌株数の収集を完了とした。
平成30年度に収集した菌株に対しては微量液体希釈法による薬剤感受性測定を開始しており、平成31年度中に全菌株の薬剤感受性測定を終了する予定である。
また、平成30年度は収集した菌株の血清型の解析を開始している。血清型解析はStatens Serum Institut社製の抗莢膜免疫抗体を用いておこなう莢膜膨化試験(Neufeld capsular swelling test)にて行っており、平成30年度末の時点で収集菌株の約半数の血清型の解析が終了している。現段階までに解析が完了している菌株では、本研究において着目している血清型15Aの多剤耐性肺炎球菌の動向についてPCV13導入以前より血清型15Aが占める比率が増大している傾向がみられており、引き続き残る菌株の解析を進めている。
また、平成31年度は収集した菌株に対して引き続き微量液体希釈法による薬剤感受性測定を行ってこれを完了するとともに、血清型の解析もすすめ、さらにMultilocus Sequence Typing (MLST)による解析のため菌株のDNA抽出も順次行っていく計画である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成30年度に菌株の収集を完了することができた。また薬剤感受性の測定は平成29年度に収集済の菌株の測定は完了し、平成30年度に収集した菌株の測定を開始することができている。さらに平成30年度から開始する予定となっていた血清型の解析も計画通り開始できている。

Strategy for Future Research Activity

平成31年度は平成29年度に引き続き薬剤感受性の測定と血清型の解析を行い、これを完了する計画である。また平成31年度にはMLSTによる解析のため菌株のDNA抽出を行ってMLST解析を開始する計画である。

Causes of Carryover

平成30年度の研究計画が効率的に進行したことにより生じた未使用額のほか、平成31年度にまたがって継続的に行われる計画となっている血清型解析に使用する試薬購入費用の一部が未購入であることにより生じたものである。
（使用計画）
平成31年度にまたがって継続的に行われる血清型解析に使用する試薬購入費用に使用するほか、平成31年度の請求額と合わせて平成31年度に実施する計画となっているMLSTの実施に必要な試薬の購入に使用する予定である。