2019 Fiscal Year Research-status Report
Regenerative effect of a ROCK Inhibitor, Y-27632, on excitotoxic trauma in an organotypic culture of the cochlea
Project/Area Number |
17K16887
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小泉 優 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (80723585)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内耳 / 聴神経 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、内耳再生に関する研究領域において聴神経の障害が注目されている。これまで感音難聴の成因に関する研究から、有毛細胞の障害が主な原因であると考えられていたが、近年になりいくつかの病態においては有毛細胞の障害よりも前に聴神経の障害(聴神経-有毛細胞間シナプスの障害)が起こっていることが確認されたためである。本研究では蝸牛器官培養系を用いて聴神経障害モデル(聴神経線維および聴神経-有毛細胞間シナプスが障害され、聴神経の胞体および内外有毛細胞は残存している状態)を作製し、聴神経の再生を試みた。 wangらの報告を基に、NMDA 0.5 mMとKainic acid 0.5 mMの2種類の薬剤 (NK処理) を使用し、培養液中で2時間反応させることで聴神経障害モデルの作成を試みた。コラーゲンコートもしくはpoly-L-lysine+Lamininコートによる接着培養、コラーゲンゲルによる3次元培養、コーティングなしでの単純培養などの培養方法を用いて、聴神経障害モデルを作製したところ、いずれの培養方法においても、聴神経線維および聴神経-有毛細胞間シナプスが障害され、聴神経の胞体および内外有毛細胞は残存している状態が再現できた。また、神経保護効果および神経・シナプス再生作用を有するとされるRho associated coiled-coil containing protein kinase (ROCK) 阻害薬であるY27632を聴神経障害モデルに作用させることで、一度障害された聴神経が伸長している可能性が示唆された。さらに、本年度の研究ではROCK阻害薬の聴神経-有毛細胞間シナプスに対する影響についても検討を行ったところ、NK処理後に一度減少した後シナプスマーカーPSD95の発現がY27632作用後に改善している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではもともと長期培養の条件を用いて聴神経の再生について検討する予定であったが、1週間以上の培養では聴神経が脱落してしまう状態であった。しかしながら短時間で作用する薬剤を検索し、短期培養でのモデルの作製に成功したため、継続して研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、神経保護効果および神経・シナプス再生作用を有するとされるRho associated coiled-coil containing protein kinase (ROCK) 阻害薬をin vitroでの聴神経障害モデルに作用させることで、一度障害された聴神経とともにシナプスについてもレスキューされる可能性が示唆された。現在は引き続きin vitroの実験系を用いて関連するシグナル伝達経路について解析を行うとともに、in vivoでの実験系を用いて、生体内でもROCK阻害薬が聴神経線維およびシナプスの障害に対して作用するかどうかについて検討を行っている。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通りの支出であったが、消耗品などのための費用に若干の繰り越しを生じた。引き続き、培養実験に使用する実験動物や培地などの消耗品の購入、また学会発表や論文投稿の費用として使用する。
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