2018 Fiscal Year Research-status Report
成長因子を用いた低侵襲で効果の高い顔面神経麻痺救済治療の開発
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17K16888
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
古川 孝俊 山形大学, 医学部, 助教 (80466630)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顔面神経再生術 / 内視鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、Bell麻痺16例、Hunt症候群10例に内視鏡下顔面神経再生術を施行している。ENoG値0~5%のBell麻痺症例の治癒率は、保存的治療に比べて、神経再生術を追加することで治癒率が2倍以上改善している。ENoG値0~5%のHunt症候群の治癒率も、保存的治療に比べて、神経再生術を追加することで神経再生術を追加することで治癒率が約2倍改善している。Bell麻痺の術後聴力は、0.5kHzから8kHzで聴力の有意な悪化を認めなかった。Hunt症候群の術後聴力は、第8脳神経症状の改善と相まって、聴力が逆に改善していた。 現在までの結果から見ると、Bell麻痺・Hunt症候群重症例に対する内視鏡下顔面神経再生術は、経中頭蓋窩法や経乳突法による減荷術の手術成績の報告と遜色ない結果が得られ、かつ一番低侵襲で聴力損失もない術式である。そのため、今後非治癒例を減らすために検討されうるサルベージ治療の選択肢の一つとなると思われた。 特定臨床研究の倫理審査で承認済の内容であり、今後も症例を重ねて有効性を実証していきたい。 更に、新たな回復因子であるIGF-1についても、有効性を確かめる動物実験を継続している。ビデオカメラ用いた閉眼の観察・筋電図を用いた頬筋枝のCMAP測定・免疫染色による組織学的評価を行っている。現在、実験結果から有効性が確認されてきており、今後の実臨床への応用を目指して準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
良好なデータが順次出てきている。今後も検討を継続予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
内視鏡下顔面神経再生術を更に継続し、ナンバーを増やすことで有効性の信憑性を高めたいと考えている。基礎実験も継続し、更に一層臨床応用に近づけたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額欄が0より大きくなったが、1万円前後の金額である。概ね予定通りの予算で研究を行えている。翌年度も計画通りに研究を継続する予定である。
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