2017 Fiscal Year Research-status Report
舌下免疫療法にiNKT細胞免疫系の賦活を加えた新規治療法の開発
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17K16891
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
櫻井 利興 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (10791999)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
OVAを抗原として一次感作を行ったBalb/cマウス(鼻アレルギーモデルマウス)を作成し、OVAの他に種々の抗原およびα-GalCer(invariant NKT細胞; iNKT細胞のリガンド)と共培養したBMDCをモデルマウスの口腔底に投与した際の鼻炎症状抑制を検討したところ、抗原としてOVA(一次感作抗原と同物質)をBMDCに加えていた場合はその後のOVA点鼻チャレンジによる鼻炎症状の誘導(二次感作)を抑制する一方で、他抗原を加えていた場合では鼻炎症状誘導に対する有意な抑制効果は確認できなかった。すなわち、本応答は抗原特異的に生じていると考えられた。鼻炎発症を抑制する上記の応答はα-GalCer細胞を添加しないBMDCでは確認されなかった。本応答に対するiNKT細胞の役割を評価する目的でJα281-/-マウス(iNKT細胞のノックアウトマウス)に、一次感作を終了した野生型マウスのCD4陽性T細胞(iNKT細胞は除去)およびB細胞を移入してから同様の検討を行うと、一次感作と同物質と共培養したBMDCを投与しても鼻炎症状の発症に抑制がかからず、本反応はiNKT細胞依存的な応答であると考えられた。BMDC投与後に二次感作を終了させたマウスの頸部リンパ節からCD4陽性T細胞を採取してAPCと共に抗原と培養したところ、鼻炎症状が抑制されているマウスではT細胞からのIFN-γ産生が優位に増加していた。同様に採取したCD4陽性T細胞からRNAを精製し、Real--time RT-PCR法で解析したところ、症状が抑制された群ではT-betの発現更新、GATA3の発現低下がみられた。炎症部位の所属リンパ節で抗原提示とともにiNKT細胞の刺激が入ると、memory T細胞はTh1 dominantな環境にシフトする可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鼻粘膜の組織学的評価(粘膜肥厚、粘膜上皮の破壊など)に関しては鼻症状と相関を評価しているが、二次感作期間が7日間と短くリモデリングが十分生じておらず、点鼻チャレンジ期間を伸ばすことを検討している。ただし一次感作終了後、二次感作終了後の二箇所で各種マウスの鼻腔冠状断切片を作成しているが、モデルマウス作成から感作終了まで1.5~2ヵ月を要するため、組織学的評価は平成30年度までかけて行う予定である。その他の検討は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた結果を踏まえ、今後は二次感作を終了した(すなわち鼻炎症状を発症している)マウスの口腔底に抗原およびα-GalCerと共培養したBMDCを投与し、同様に症状を抑制するのか、その際の所属リンパ節中memory T細胞のpopulation変化を確認していく。二次感作開始前に投与するのが発症予防モデルであったのに対して、この方法は鼻アレルギーを発症した後の治療モデルと考えている。またα-GalCerの投与経路として、口腔底以外(静注、経鼻など)の模索や、口腔粘膜の通過方法としてliposome化などについても検討し、論文として報告する予定である。
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Causes of Carryover |
鼻腔冠状断切片を用いた検討に時間を要しており、30年度も引き続きおこなっていくため。
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Research Products
(1 results)