2018 Fiscal Year Research-status Report
機能イメージングを用いたがん微小環境、特に抗がん免疫環境の評価法の検討
Project/Area Number |
17K16902
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 敏充 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80707860)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 腫瘍免疫 / がん代謝 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前我々は、がん微小環境因子である低酸素や乳酸が、免疫抑制誘導因子として作用していることを明らかにしてきた。非侵襲的に微小環境の免疫状態を画像的に評価する方法は臨床的に用いられていないので、低酸素や乳酸濃度を評価する機能イメージングを用いて、免疫抑制状態の予測が可能であるか検討しようと考えている。 過去に当科で治療を行った進行頭頸部癌患者のデータ解析および手術標本の染色をおこなった。FDG-PET/CTはグルコース取り込み亢進を測定する。FDG-PET/CTのパラメーターとして、FDG集積度の定量的指標であるSUV(standardized uptake value)の最高値(SUVmax)、SUV平均値(SUVmean)、代謝腫瘍体積(metabolic tumor volume: MTV)、総腫瘍代謝(total lesion glycolysis: TLG)を乳酸濃度の指標として計測した。治療前の血液データから炎症性パラメーター(CRP、白血球、好中球、リンパ球)を調べた。 FDG-PET/CTパラメーターと炎症性パラメーターを比較したところ、FDG-PET/CTパラメーター(SUVmax、SUVmean、MTV、TLG)は、CRP、白血球、好中球と正の相関関係を認めたが、リンパ球とは相関関係を認めなかった。つまり、グルコース取り込みが亢進した頭頸部癌患者では、全身性炎症、特に好中球炎症が亢進していることを示唆していた。さらに、手術標本を用いて好中球およびリンパ球の浸潤を評価し、FDG-PET/CTパラメーターと比較検討を行ったが、それらの関係性を示すような結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、低酸素イメージングとして光音響イメージング(Photoacoustic imaging)、乳酸濃度イメージングとしてMSスペクトロスコピーの使用を予定していた。多方面に依頼したが、使用することができなかった。そこで、光音響イメージングの代わりにドップラーエコーを使用している。また、MSスペクトロスコピーの代わりにFDG-PET/CTの使用している。30例ほど症例の蓄積ができている。今後、腫瘍微小環境における免疫状態を解析し、それらとの関連性の検討を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
蓄積された症例数が増えてきたので、ドップラーエコーと低酸素マーカー、FDG-PET/CTパラメーターと乳酸濃度との関連性を検討していく予定である。さらに、免疫状態の評価も行い、機能イメージングの結果と、腫瘍微小環境における免疫状態との関連性を評価していきたい。 また免疫チェックポイント阻害薬であるNivolumabが頭頸部癌の適応になってから、2年が経過している。Nivolumabに関しては、患者個々の免疫状態がその効果に関連することが示唆されている。機能イメージング、腫瘍微小環境の免疫状態とNivolumabの効果についても、検討を進めていければと考えている。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況がやや遅れており、当初の予定より差額が生じている。現在、多くの臨床検体が集まってきているので、それらの解析を進めていく予定である。 新たに、フラックスアナライザーを用いて、腫瘍細胞の代謝機能を直接測定することを計画している。それに伴い当初予定していたより、多くの物品などが必要となり、繰越金をそちらに充てる予定である。
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Research Products
(4 results)