2019 Fiscal Year Research-status Report
Evaluating method for tumor immune microenvironment by using the functional imaging
Project/Area Number |
17K16902
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 敏充 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80707860)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 腫瘍免疫 / がん代謝 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは通常の組織とは異なり、内部は低酸素状態であり、またがん細胞の解糖系亢進を反映して乳酸濃度が高くなっている。以前我々は、低酸素や乳酸などの因子が、微小環境における免疫抑制誘導因子として作用していることを明らかにしてきた。非侵襲的に微小環境の免疫状態を画像的に評価する方法は臨床的に用いられていない。そこで、低酸素やがん細胞の解糖系亢を機能イメージングで評価することで、がん微小環境の免疫抑制状態の予測が可能であるか検討をおこなっている。 FDG-PET/CTはがん組織の解糖系亢進を反映している。当院で治療を行った頭頸部癌患者の検討で、FDG-PET/CTパラメーターであるSUVmax、SUVmeanなどは、末梢血中の好中球数、CRPと正の相関を認めた。つまり、がん組織の解糖系が亢進しているものほど、全身炎症が誘導されていることを示している。がんにおける慢性炎症は、がん免疫抑制に繋がる。それだけでなく、SUVmax、SUVmeanはがん組織に浸潤する免疫抑制性マクロファージとも正の相関を認めた。つまり、実際の患者でも、解糖系が亢進した頭頸部癌ほど、免疫抑制状態が誘導されていることが示唆された。これら結果は、Auris Nasus Larynsに掲載された(The Importance of FDG-PET/CT Parameters for the Assessment of the Immune Status in advanced HNSCC. Ohashi T, et al.)。 当初、低酸素イメージングとして光音響イメージング(Photoacoustic imaging)の使用を検討したが、結局できなかった。代わりにドップラーエコーを使用し、頭頸部癌患者の転移リンパ節の血流評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低酸素イメージングとして、ドップラーエコーを用いることとした。当院で手術前に頸部リンパ節に対して、ドップラーエコーを29例で行った。そして、ドップラーエコーの画像を処理して、血管の割合を計算した。転移リンパ節における低酸素関連マーカーであるCarbonic ahydorase9(CA9)発現は、血管の割合と負の相関を認めた。つまり、血管が少ないものほど低酸素であることが示され、ドップラーエコーが低酸素イメージングとして代用可能と考えられた。現在、これらの症例に対して、転移リンパ節に浸潤する免疫細胞の解析を行っており、低酸素との関連性を評価していく。低酸素イメージング法の検討に時間を要したため、当初の予定よりやや遅れている。 また、当院で前治療なしで外科的切除を行った患者約40症例を対象に、がん組織内の細胞障害性T細胞、マクロファージ、PD-L1、PD-L2などを免疫組織学的染色にて評価をおこなった。これらの結果を、治療前のFDG-PET/CTの結果と比較を行っている最中である。FDG-PET/CTに関して、当院のみならず多施設で行われていることもあり、施設間の誤差を補正する必要がある。そのために、FDG-PET/CTの評価には、もう少し時間を要する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数は十分増えてきたので、現在順次解析を進めている。 また、免疫チェックポイント阻害薬であるNivolumabの治療効果を予測するために、機能イメージング、腫瘍微小環境の免疫状態の評価が有効でないか検討も行っている。我々の検討では、Nivolumab投与後の好中球数の変化で、その治療効果と関連性が示唆される結果となった。しかしながら、症例数も少ないので、今後さらに症例を増やして検討行う予定である。
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Causes of Carryover |
低酸素イメージング法が定まらず、症例蓄積に時間を要している。そのために、使用額が低くなった。順次、解析を進めていく予定である。 また、国際学会発表を目指したが採択されず、発表時の旅費なども使用しなかった。
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