2017 Fiscal Year Research-status Report
内耳聴覚・平衡機能におけるEpiphycanの働き
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17K16911
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花田 有紀子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70734044)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴覚 / 平衡覚 / cDNAライブラリ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はcDNAライブラリを検索することにより内耳に発現している遺伝子の一つであるEpiphycanに着目し、Epiphycan mRNAがマウス内耳に特異的に発現しており、そのなかでもコルチ器支持細胞に局在していることを明らかにしていた。我々の作成したEpiphycanノックアウトマウスの内耳形態には明らかな異常を認めないものの、軽度の聴覚閾値上昇を認めた。これらの実験結果よりEpiphycanは正常聴覚に必要であることが示唆され、論文報告した。 さらに我々は、同じcDNAライブラリからFGF12という遺伝子にも着目し、その内耳における局在や機能について同様の手法を用いて研究を行った。まず定量PCRによりFGF12が特に前庭神経節に豊富に発現していることを明らかにした。in situ hybridizationにてFGF12 mRNAはマウス内耳のらせん神経節および前庭神経節に発現していた。さらに我々は抗FGF12抗体を用いてマウス内耳組織の免疫染色を行い、FGF12がらせん神経節・前庭神経節およびそれらの神経線維に発現していることを見出した。以上の実験結果より、FGF12は聴覚・平衡覚の神経路において重要な働きをしている可能性が高いと考えられる。我々はEpiphycan同様、CRISPR/Cas9法を用いてFGF12ノックアウトマウスを作成した。現在ノックアウトマウスの系統を確立するためにmatingを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたEpiphycanについての研究は順調に進捗し、論文報告することができた。 この手法は新たな難聴遺伝子の同定に有用であると考えられたため、同じcDNAライブラリから見出したFGF12について研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Epiphycanについては、ノックアウトにより聴覚の閾値上昇が認められたものの、そのメカニズムについては明らかにできていない。これを明らかにするため、Epiphycanノックアウトマウスの中内耳の組織形態の検討をさらに詳細に行うことを考えている。 また、現在飼育しているFGF12ノックアウトマウスのmatingを継続し、多数のノックアウトマウスを得る。その後、FGF12ノックアウトマウスの聴覚や平衡覚・組織形態を調べ、FGF12の内耳における機能を推定する。FGF12は特に前庭神経節に豊富に発現していることより、我々の作成したVOR(前庭動眼反射)検査を用いてFGF12ノックアウトマウスに平衡覚の異常がないか研究を行うことも考えている。
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Causes of Carryover |
当初計画していた研究が順調に進捗したため、次年度分の前倒し申請を行った。しかしその後はおもにノックアウトマウスの繁殖や論文作成を行っていたため、予測よりも物品費が抑制された。次年度はノックアウトマウスの機能解析をおもに行う予定であるため、次年度使用額はそのための物品購入に必要である。
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Research Products
(2 results)