2017 Fiscal Year Research-status Report
マウス聴覚における経験依存的可塑性に関与するOtx2蛋白質の作用機構の解析
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17K16918
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
枝松 緑 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10735343)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / 可塑性 / 臨界期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,視覚野の可塑性を制御するマスター遺伝子であるOtx2が内耳形成においても必須の転写因子であることに注目し,聴覚野可塑性にもOtx2が関与しているかどうかを明らかにすることを目的としている。まず聴覚可塑性におけるOtx2の役割を遺伝子改変マウスを用いて明らかにすることと,さらに,聴覚可塑性を経験依存的に獲得することから,正常マウスと聴覚遮断モデルマウスの聴覚野の遺伝子発現の差異を網羅的に解析し,可塑性制御分子を同定することを目的としている。当研究が発展することにより,人工内耳治療やリハビリテーション領域に基礎的知見を提示できることのみならず,聴覚中枢の障害修復や,脳機能再建療法の開発へも繋がると考える。 平成29年度は聴覚可塑性制御分子の探索のため,聴覚遮断モデルマウスの作製を行った。臨界期における神経の可塑性の誘導には外来刺激が必要であることから,音刺激を人為的に遮断し,可塑性を抑制したマウスから組織を回収するために,幼若期における聴覚遮断モデルの確立を行った。さらに生後発達期において,臨界期が形成される前後ならびに臨界期中の大脳皮質聴覚野から組織を回収し,生後発達依存的な遺伝子発現プロファイルの解析をおこなっている。また生後の聴覚可塑性におけるOtx2の役割を明らかにするため,Cre-loxPシステムを用いて,組織特異的かつ時期特異的なOtx2欠損マウスの作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では生後特異的Otx2欠損マウスの作製と解析を中心に行う予定であったが、欠損マウスの作製が当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については,大きな方向性の転換は必要とせず概ね計画どおり生後特異的欠損マウスを用いた解析を行う予定である。また,臨界期に発現の上昇が見られる分子に関して,聴覚遮断実験においてその発現上昇が抑制されたものを抽出することで,聴覚野の可塑性制御関連分子の候補を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度に計画していた遺伝子改変マウスを用いた実験を平成30年度に行うため消耗品として使用する。
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