2017 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺癌の浸潤・転移におけるERM蛋白と受容体型チロシンキナーゼの機能解析
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17K16921
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 和樹 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20707195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 唾液腺癌 / 遠隔転移 / 個別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺癌は比較的珍しい癌腫である。にもかかわらず,現行のWHO 分類においては20種を超える組織型が存在し,各々の組織型の病態の解明は十分にはなされていない。唾液腺癌の遠隔転移例に対しては,シスプラチンを主体とした化学療法が選択されるが効果は限定的であり,有効なレジメも存在しないのが現状である。また近年,高悪性度唾液腺癌において受容体型チロシンキナーゼであるHER2を標的とした分子標的治療も検討されているが,適応症例の選別基準や,併用する抗がん剤の選択など今後の検討課題も多い。現在臨床の現場においては,組織形態を基本とした病理学的悪性度分類(低,中,高悪性度の3分類)に基づいて,手術範囲の決定やリンパ節郭清の適応,また術後治療(放射線治療や化学療法)の適応を検討するのが一般的である。しかしながら,組織形態だけではなく分子学的背景も取り入れた,より臨床に有用な生物学的悪性度分類の確立が求められる。本研究では,九州大学耳鼻咽喉科において手術加療を行い形態機能病理で診断を行った唾液腺癌症例について,組織型の違いによるEGFR, HER2といったチロシンキナーゼ分子発現異常の差異や,特に高悪性度癌種におけるERMタンパク発現異常,免疫チェックポイント機構やミスマッチ修復蛋白の異常を解析することで,これらの分子異常と各組織型の生物学的悪性度との関連を明らかにし,新たな分子標的治療へとつながる基礎的知見の集積を目指す。現在,対象組織型のさらなる選定とともに,唾液腺癌症例におけるEGFR遺伝子増幅の解析を行い,また各種蛋白の免疫染色による発現異常解析を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の移動に伴って研究の進捗がやや遅れている。九州大学形態機能病理との連携を図り研究を遂行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き九州大学形態機能病理との連携を図り,各分子の発現異常解析を行う。得られたデータをもとに,臨床病理学的事項との関連の解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の施設移動に伴い,当該年度に予定していた顕微鏡システムの購入に至らなかったため。次年度以降での購入を予定。また,研究の進捗に伴い解析に必要となる染色試薬等の購入を検討。
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