2018 Fiscal Year Research-status Report
脳機能画像を用いた顔面神経麻痺の中枢制御機構の解明と新規リハビリテーション開発
Project/Area Number |
17K16930
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
喜瀬 乗基 琉球大学, 医学部, 医員 (60636421)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顔面神経麻痺 / fMRI / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
顔面神経麻痺(Facial Palsy:FP)は自然治癒があるが、高度麻痺が生じた場合、麻痺の残存や病的共同運動が生じやすい。麻痺直後の保存的治療、減荷術などの手術治療の有効性が報告されているが、リハビリテーションも病的共同運動が生じないようにするために重要である。しかし、FP時の顔面運動の中枢制御機構やリハビリテーションによる脳活動の変化については報告が少なく、FPリハビリテーションは経験則により実施されているのが現状である。また、高度麻痺が残存する場合には、舌下神経-顔面神経吻合術がFPの動的再建手術として行われ、顔面表情筋が顔面神経と舌下神経の二重支配を受けることが動物実験で証明されている。動的再建術では、リハビリテーションが機能回復に重要であるが、リハビリテーションの効果を脳活動から裏付ける研究は未だ無い。 本研究では、機能的核磁気共鳴画像(functional MRI:fMRI)を用いて、FP症例の脳活動を検討することによって、顔面運動の中枢制御機構とリハビリテーションの治療効果を脳機能面から明らかにし、より有効なリハビリテーション法を新規開発することを目的とする。 左急性FP15例と健常人15例の解析では、非麻痺側(右)の大脳感覚運動野に強い賦活が認められたが、その一方で、麻痺側(左)の一次運動野および非麻痺側(右)の小脳では賦活が減少していた。このことから、末梢性顔面神経麻痺の急性期においては、麻痺側と反対の大脳運動皮質に対しては興奮性制御が生じ、麻痺側の大脳運動皮質および麻痺側と反対の小脳に対しては抑制性制御が生じている可能性があることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
右FP症例が当初の予定よりも十分集まっていない。対象症例については、積極的にリクルートを行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に、急性期FP群の解析(実験2)を終了し、引き続き陳旧性FP群にける解析(実験3)につなげる。
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Causes of Carryover |
参加出来なかった関連学会があり、結果として次年度使用額が生じた。本年度はこれまで以上に学会に参加し最新の知見も取り入れつつ研究成果も報告するよう計画していく。また、データ保存や解析に使用するためのデバイス購入も必要なため、残預金についてはそれらの購入費に充てる予定である。
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