2017 Fiscal Year Research-status Report
めまい平衡障害モデルマウスの開発と平衡リハビリテーションへの応用
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17K16938
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 妙子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60623486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 平衡障害 / モデルマウス / 前庭代償 / アルサニル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
めまい平衡障害に対するリハビリテーションの有用性を検討するために、簡便で再現性の良いめまい平衡障害モデルマウスを作成方法を確立することを目的としている。方法はマウスの鼓室内にアルサニル酸を単回投与することで内耳破壊を行った。再現性の確認方法としては、眼振の出現やその回数、頭部傾斜の有無やその角度という動物行動学的指標と、前庭神経核における最初期遺伝子(c-Fos、Arc、Zif268)の発現を観察するという組織化学的手法を用いて行った。 アルサニル酸を鼓室内投与した場合、投与直後は眼振や頭部の傾きはみられないが術後約1日で眼振や頭部の傾きがみられるようになった。眼振は2日後には消失、頭部傾斜は5日後にはほぼ回復していた。 組織化学的には、アルサニル酸鼓室内投与48時間後には破壊側前庭神経核に最初期遺伝子の発現がみられ、以後徐々に発現数が減少し、1週間後にはほぼ観察されなくなった。 この眼振、頭部傾斜角、最初期遺伝子の発現の時間経過から静的前庭代償の過程を観察した。 またMK801を腹腔内投与したあとで、眼振、頭部傾斜角、最初期遺伝子の発現を観察することで、静的代償前庭と同様に、動的代償の完成も確認した。 今回観察できた静的前庭代償と動的前庭代償の過程は、来年度以降、めまい平衡障害モデルマウスに対して投与する種々の薬剤や運動負荷などの行動が前庭代償に及ぼす効果を観察するための基準とすることができ、来年度以降の研究につなげることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、内耳破壊後の前庭代償の過程を観察することができた。この結果を次年度の研究につなげる。
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Strategy for Future Research Activity |
視覚や体性感覚に影響する環境、条件や種々の運動負荷など前庭代償に影響すると予想される条件を負荷し、前庭代償の進行を観察する。
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Causes of Carryover |
前庭動眼反射記録装置の開発過程において、回転盤の回転システムに修正の必要が生じた。次年度以降で修正されたプログラムを搭載した検査装置の納品を予定している。
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