2020 Fiscal Year Annual Research Report
Model mouse for vestibular rehabilitation
Project/Area Number |
17K16938
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 妙子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (60623486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 前庭代償 / モデルマウス / アルサニル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ひとたび内耳障害がおこり神経や細胞が障害されると、それらが再生することは難しいが、前庭代償という中枢の可塑性がはたらき、体平衡は改善する。そしてそれに伴いめまいは改善すると考えられている。元来、めまい平衡障害の研究は、ラットやモルモット、ネコといった比較的大きな動物で施行されてきたが、遺伝子治療が想定される現在、遺伝的改変が容易であるマウスで研究を行うのがより望ましいと考えられる。内耳障害モデル動物は外科的に内耳破壊を行ったりエタノール灌流を行ったりすることで作成されてきた。しかし個体が小さく、耳も極めて小さいマウスに対して外科的内耳破壊術やエタノール灌流は極めて難しく、再現性が担保されにくい問題点がある。 そこで我々は再現性が高い方法で化学的内耳破壊術を行うことを選択した。ヒ素の一種であるアルサニル酸を用いた内耳破壊方法はラットやモルモット、ウサギなどで報告されている。このアルサニル酸を用いて内耳破壊を行ったが、報告されている方法ではマウスでは再現性が低かった。そこで変法を考案し再現性が高い内耳破壊方法を確立した。 またマウスの眼球運動は肉眼では観察できない。そこで赤外線CCDカメラを装備した特注の眼球運動観察装置を用い眼球運動を観察し、アルサニル酸を用いた内耳破壊後の眼振の出現、消失を観察し、マウスの前庭代償過程を示した。また同時に行動実験でマウスの体平衡偏倚を観察し、動的にも静的にも前庭代償が観察されることを報告した。
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