2017 Fiscal Year Research-status Report
反復性中耳炎の質的免疫能解析と免疫療法の適応基準の作成
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17K16939
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
武田 早織 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (20644090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難治中耳炎 / 免疫グロブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
当教室中耳炎外来に通院中の 3~5 歳の難治性中耳炎患児および対照群として同年齢の単純性中耳炎患児を研究対象とする。難治性中耳炎は 2013 年版小児急性中耳炎診療ガイドラインの定義を参考に、同ガイドラインに沿った治療を行っているにも関わらず、「鼓膜所見が改善せず、初診 時の臨床症状や鼓膜の異常所見が持続しているか、悪化している」症例とした。一方、単純性中耳炎はガイドラインの第1選択薬で臨床症状および鼓膜所見が改善する症例と定義した。 難治性中耳炎患児の血清中の抗肺炎球菌特異的抗体(抗莢膜多糖体特異的 IgG、抗 PspA 特異的 IgG)の抗体価およびオプソニン化能をそれぞれ酵素抗体法(ELISA)とオプソニン化貪食殺菌法 (OPK assay)によって評価し、さらに抗体価が低い、あるいはオプソニン化能が低い血清に免疫グロブリンを添加し、オプソニン化能の改善程度を観察する。抗体価およびオプソニン化能の 2 つのパラメーターと、十分な殺菌効果が得られるために必要な免疫グロブリン補充量の相関関係を検討することで、難治性中耳炎に対する免疫グロブリン補充療法の具体的な適応基準を作成する。
まず、血清サンプル中の抗肺炎球菌特異的抗体価の測定し、血清サンプル中の抗肺炎球菌特異的抗体の機能評価を行い、次に、免疫グロブリン製剤に含まれる抗肺炎球菌特異的抗体価およびオプソニン化能を検討するため、免疫グロブリン製剤に含まれる抗肺炎球菌特異的抗体価の測定と免疫グロブリン製剤に含まれる抗肺炎球菌特異的抗体のオプソニン化能の評価を行う。 次に難治性中耳炎に対する免疫グロブリン補充療法の効果を検討する。免疫グロブリン補充による患児血清のオプソニン化能改善の評価し、本計画の最終的な目標である、難治性中耳炎に対する免疫グロブリン療法の適応および投与量の基準を検討し作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年に倫理委員会へ申請、承認され、当教室中耳炎患者からの血清サンプルを収集した。またOPK assayの準備が完了し、今年度は、免疫グロブリン製剤に含まれる抗肺炎球菌特異的抗体価及びオプソニン化能を測定、評価していく。
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Strategy for Future Research Activity |
計画どおり、免疫グロブリン製剤に含まれる抗肺炎球菌 特異的抗体価およびオプソニン化能を検討する。まず、血清サンプルと同様にELISA 法にて肺炎球菌莢膜に対する特異的抗体価を評価する。そして免疫グロブリン製剤に含まれる抗肺炎球菌特異的抗体のオプソニン化能の評価 血清サンプルと同様に OPK assay にて免疫グロブリン製剤の肺炎球菌に対するオプソニン化能を評価する。 次に昨年度に評価した難治性中耳炎患児の血清サンプルに免疫グロブリン製剤を段階希釈して添加し、OPK assay によりオプソニン化能の改善を客観的に評価し単純性中耳炎群と同等の殺菌能を得るために必要な免疫グロブリンの添加量を算出し、免疫グロブリン補充による難治性中耳炎患児血清のオプソニン化能改善の評価を行う。そして本計画の最終的な目標である、難治性中耳炎に対する免疫グロブリン療法の適応および投与量の基準を検討し適応基準を作成する。
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Causes of Carryover |
初年度は検体収集やOPK assayの準備を行い試薬などの消費が少なく、次年度に繰り越しとした。
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