2017 Fiscal Year Research-status Report
日本人における神経線維腫症2型の遺伝子解析と治療薬選択の検討
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17K16944
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野口 勝 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50626760)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Neurofibromatosis type 2 / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は慶應義塾大学病院耳鼻咽喉科、および同院脳神経外科に通院中の、臨床的にNeurofibromatosis type 2(NF2)と診断された症例に対し、症例のリクルートを行った。6症例において同意が得られ、それらの症例の診療録を確認し、年齢や性別、家族歴、症状、身体所見、MRIによる腫瘍径や腫瘍数、純音聴力閾値、語音聴力閾値、治療等の経過ついての臨床情報を得た。6症例は採血時の年齢が22歳から47歳であり、いずれも若年発症であった。どの症例においても両側の感音難聴があり、腫瘍の経時的な増大に伴い、両側ともに難聴の増悪を認め、1症例においては両側ともに聾となっていた。経過中の治療は様々であり、手術治療、放射線治療などが行われていた。なお、6症例中5症例において、脳神経外科にてVEGFペプチドワクチンによる治験が行われている。これらの症例の末梢血を採取し、DNAを抽出した。次いで疾患の原因遺伝子となる、NF2腫瘍抑制遺伝子のexome解析について、次世代シークエンサーを用いて行うため、遺伝子シークエンスパネルを作成し、現在解析を行っている。シークエンスパネルの作成や、遺伝子解析については独立行政法人国立病院機構東京医療センター聴覚障害研究室(松永達雄医師)、および公益財団法人かずさDNA研究所との共同研究として、得られた配列を、既存の変異情報や日本人の正常アレル頻度情報と比較しながら、解析を行うこととして準備を進め、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次世代シークエンスによる解析にやや時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はNF2腫瘍抑制遺伝子の次世代シークエンスの結果を解析を行う。変異を認めない場合は次世代シークエンサーにて検出できない欠失や挿入の可能性があるため、MLPA法による解析を行う。得られたシークエンスについては、病原性変異が存在しているか評価を行う。またそれぞれの症例における臨床情報との対比も行い、遺伝子背景とNF2の臨床経過とが関連するかの評価を行う。その後NF2抑制遺伝子がコードするMerlinの立体構造予測や機能変化についての検討も行う。
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Causes of Carryover |
研究の遅れに伴い、年間で使用する金額が予定より少なくなった。今後研究を進めるにあたり、計画していた使用額となる見込みである。
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