2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular genetical examination and genotype-phenotype correlation for Japanese cases of neurofibromatosis type 2
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17K16944
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野口 勝 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (50626760)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経線維腫瘍症2型 / NF2 / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では日本人の神経線維腫症2型(NF2)の症例を対象に、遺伝子変異とその臨床経過について検討した。Manchester NF2 diagnostic criteriaにてNF2と診断された、孤発性のNF2症例11例に対し、末梢血より採取したDNAを、次世代シークエンス(NGS)を用いて解析した。またその結果得られた配列の病原性について、ACMGガイドラインをもとに評価した。病的バリアントが未判明であった症例は、重複や欠失などのCopy Number Variation(CNV)が存在する可能性を想定し、Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MLPA)解析による解析を行った。また各症例の結果について、発症年齢や腫瘍径、聴力といった臨床経過との対比を行った。NGSの解析と病原性評価の結果、11例中9例で病的バリアントが認められた。そのうち5例はnonsense変異例、2例はframeshift変異例、1例はsplice site変異例、1例はinframe deletion例であった。病原性評価の結果は、inframe deletionの1例がlikely pathogenicであったが、その他の8例はpathogenicであった。このうち2例は過去に報告されていない病的バリアントであった。11例中2例においては病的バリアントが未判明であり、これらについてMLPA解析を行ったが、どちらもCNVは認められなかった。臨床経過について検討すると、発症年齢については、nonsense変異やframeshift変異といった、変異によりタンパク合成が中断されるtruncating変異であると予測された7例では全例が20歳未満の発症であった。このtruncating変異例の症例群と、それ以外の症例群の発症年齢を比較すると、truncating群の方が有意に発症年齢が低かった。また無治療で自然経過を追えた期間において、腫瘍径は全体的に増大傾向であり、聴力も全体的に増悪傾向であった。しかし症例により腫瘍径や聴力の経過は様々であり、また同一個体においても左右差が存在し、変異の種類によって一定の傾向は認められなかった。
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