2017 Fiscal Year Research-status Report
鳥類内耳細胞を用いたマウスiPS細胞から内耳細胞への分化誘導と遺伝性難聴への応用
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17K16948
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
福永 一朗 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20746581)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / GJB2 / Connexin26 / iPS細胞 / 分化誘導 / 蝸牛支持細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】遺伝性難聴は、1600出生に1人と高頻度で発症し、聴覚と言語発育に著しい障害を引き起こすため、極めて高度なQOLの低下をもたらす。特に、コネキシン26(Connexin26, Cx26)をコードするGap junction beta 2 (GJB2)遺伝子は、世界最大の遺伝性難聴の原因遺伝子である。Cx26 は、Cx30 と共に内耳支持細胞群において細胞間イオン輸送を行うギャップ結合(Gap Junction, GJ)を構築する重要な要素である。これまで、細胞治療や薬剤スクリーニングを目的としてES/iPS 細胞から内耳細胞への分化誘導法が複数報告されているが、いずれも有毛細胞を対象としたものであった。これに対し、GJB2 難聴を含めた遺伝性難聴の原因となる細胞は、有毛細胞だけでなく支持細胞や線維細胞など多岐にわたることから新しい治療戦略が求められている。しかし、申請者らが報告するまでES/iPS 細胞からCx26 を発現しギャップ結合プラークを構築する細胞への分化誘導法は報告されていなかった。 【目的】本課題では遺伝性難聴の根本的な治療法の開発を目指し、1)分化誘導した細胞の機能性評価、2)疾患モデル由来iPS 細胞からの分化誘導と遺伝子修復、3)難聴モデルマウスへの細胞移植を行う。 【結果】マウスiPS細胞から分化誘導したCx26を発現する細胞の機能性評価を行った。その結果、①Cx26ギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションが行われていた、②発達期蝸牛で観察されるカルシウムシグナルの自家発火と伝播が観察された、③観察されたカルシウムシグナルの自家発火と伝播は内耳同様ATPやコネキシンヘミチャネルに依存していることが明らかとなった。以上の機能性評価により、iPS細胞から作製したCx26ギャップ結合を構築する細胞は蝸牛支持細胞様細胞であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞から分化誘導したコネキシン26を発現する細胞は、形態的・機能的に発達期の蝸牛支持細胞に近いことが示唆された。 また、疾患モデルマウスから樹立したiPS細胞を同手法により内耳細胞へ分化誘導し、GJB2難聴の分子病態である、ギャップ結合プラークの崩壊を再現することができた。 作製した疾患モデル細胞に対し、ウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行っているが、導入効率や再現性に問題があることが分かった。 一方で、ヒトiPS細胞からの分化誘導も同様に行っており、Cx26ギャップ結合を構築する細胞の作製に成功している。 以上のことから、計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞へのCRISPR/Cas9 システムによるゲノム編集や疾患モデルマウスへの移植実験を行う予定である。また、ヒトiPS細胞からの分化誘導法の開発を同時進行で行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
人件費および旅費が予想されたよりも抑えることができた。 実験自体は順調に進展し、ヒトiPS細胞の分化誘導も行っていくので培養等で使用する消耗品に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)