2017 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームが内包するマイクロRNAに着眼した聴神経腫瘍による難聴の病態解明
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17K16949
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
藤田 岳 近畿大学, 医学部, 講師 (90533711)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴神経腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の内容】 本研究の第一の目的は、聴神経腫瘍患者において聴力障害が生じるメカニズムの解明である。その目的のために、聴神経腫瘍細胞を培養し、エクソソームから得られたmiRNAによる蝸牛の神経細胞障害を調べる計画であった。その前段階として、腫瘍内でmiRNAによって制御されている遺伝子を探るため、手術で得られた腫瘍サンプルを用いて網羅的な遺伝子解析を行っている。具体的には、手術によって摘出した聴神経腫瘍のホルマリン固定サンプルから、DNAを抽出した。それらの品質をチェックしたのちに次世代シーケンサーを用いて腫瘍細胞のsomatic な変異について、確認している。現在、第一段階として、包括的な腫瘍パネルを用いて幾つかの遺伝子変異が検出されており、その意義について解析している段階である。また突発性難聴患者における、聴神経腫瘍患者の疫学的な頻度についても研究し、約3%と高頻度であることを論文発表予定である。
【意義・重要性】 これまで良性腫瘍である聴神経腫瘍について、特に難聴との関連の点から詳細に遺伝子解析された報告はなく、今回の研究にいくらか明らかにされることが期待される。それにより、聴力が悪化する症例と悪化しない症例の判別が可能となれば、患者さんにとって大きな福音である。また、突発性難聴患者のうち3%が聴神経腫瘍が原因であるということは、患者さんのマネジメントに有用なだけでなく、腫瘍と難聴の関連を探る上でも重要な情報となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、一定の品質で遺伝子解析ができており、概ね順調な進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在同定されている遺伝子と、計画で述べているmiRNAとの関連を調べ、in vitro, in vivoの実験を進めていく予定である。ただし、miRNAの実験が思うように行かない場合には、遺伝子変異の実験を拡大し、そちらから主目的である聴神経腫瘍による難聴発生メカニズムを探ることにする。
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Causes of Carryover |
現在は、経費は腫瘍細胞からの遺伝子解析に主に用いられている。当該年度内には、予算の余剰が発生しているが、翌年度には更にサンプル数を増やして解析する予定であり、さらにはin vitro, in vivo 解析を行って行く予定であるため、当該年度よりも多くの研究予算が必要になると予想される。
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