2018 Fiscal Year Annual Research Report
The molecular mechanism of hearing loss in acoustic neuroma patients.
Project/Area Number |
17K16949
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤田 岳 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90533711)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴神経腫瘍 / 遺伝子 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、聴神経腫瘍の聴力悪化や増大に関わる因子を探ることにある。研究計画では、聴神経腫瘍から分泌されるエクソソーム中に含まれるマイクロRNA (miRNA)を解析し、聴神経腫瘍の予後を左右する因子を探る予定であった。しかし抽出エクソソーム内のmiRNAの品質が安定しないため、研究計画を修正し、より上流の遺伝子を解析することとした。 具体的には当科で聴神経腫瘍手術を行った10例について、409遺伝子のexon領域上で癌および肉腫において高頻度に変異を認める15,992ヶ所対応するプライマーセットを使用し、次世代シーケンサーを用いてターゲットシークエンシングを行った。もとより、聴神経腫瘍の発生にはNF2遺伝子の異常が最も重要であると考えられている。NF2遺伝子は22番染色体長腕に存在し、腫瘍抑制タンパクであるMerlinをコードする。このMerlinの働きが失われることにより、腫瘍が発生すると考えられている。本研究でも、NF2遺伝子変異は、10例中4例(40%)に認められ、その他にもいくつかの遺伝子に変異が認められた。NF2遺伝子にコードされるMerlinタンパクは、PAK, Rac, mTORC1, PI3K/AKT, Ras/Raf/MEK/ERKなど多くの重要なシグナル伝達系との関わりが報告され、複雑なパスウェイを形成しているとされているものの、全ての症例でNF2遺伝子変異が認められるわけではなく、また症例毎に異なる腫瘍生物学的な特徴が、単一の遺伝子変異のみで説明できるかどうかについては疑問が残るため、現在さらに解析を進めている。
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