2017 Fiscal Year Research-status Report
真珠腫性中耳炎に対するDNAメチル基転移酵素を標的としたエピゲノム創薬の有効性
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17K16952
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
岩本 依子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 耳鼻咽喉科・非常勤 (70636480)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNAメチル化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで所属機関にて採取されたヒト真珠腫組織検体および同様の組織像を呈する表皮嚢胞について検鏡を行ったが、充分な量の角化扁平上皮細胞の基底層の細胞が採取されておらず、今回の評価対象とするにて不適であったことから、新規の検体採取が必要となった。ヒト真珠腫性中耳炎の新規臨床組織検体採取にあたり、所属機関での検体の採取方法及び保管方法の取り決めを行ない、新たに採取する真珠腫検体の管理のため、データベースの作成を行なった。現在、検体の使用については倫理委員会での承認準備中である。 研究者が産休・育休を取得したために、研究に大幅な遅れを生じている。なお、2018年4月より復職し、再開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで所属機関で採取された真珠腫組織検体について検鏡を行なったが、十分な上皮組織が採取された検体が非常に少なく、研究での使用は不可能と判断した。新規に採取する組織検体については、院内での取り扱い方法の取り決めに時間を要し、倫理委員会への承認申請が遅れた。 また、研究者が10月より産休・育休に入ったため研究を中断しており、大幅な遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
院内倫理委員会において承認を受け次第、ヒト真珠腫検体採取を開始する。 採取した真珠腫組織について、正常ヒト皮膚・鼓膜及び表皮嚢胞組織をコントロールとし、DNAメチル化酵素(Dnmt3a,Dnmt3b)のmRNA及びタンパク質レベルでの発現確認を行う。mRNAレベルの解析については、採取した真珠腫検体をmatrix層とperimatrix層に分離することに困難が予想されることから、組織切片をlaser micro dissectionを用いて角化上皮細胞層を単離し、リアルタイム定量PCRにてRNAの定量的解析を行う予定である。 また、研究者はこれまでにマウス耳介角化扁平上皮細胞において、dnmt3a阻害剤である3,3’-二没食子酸テアフラビン投与による遺伝子発現への影響をマイクロアレイにより解析しており、そのデータを用いて角化扁平上皮細胞の過剰増殖に関与する遺伝子の推定を行う。当該標的遺伝子の発現をヒト真珠腫組織およびコントロール組織においてmRNAレベルおよびタンパク質レベルで確認し、前述のDNAメチル化酵素発現との相関性を検証する。
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Causes of Carryover |
前年度はヒト真珠腫組織検体を用い、DNAメチル化酵素のmRNA発現確認や免疫染色に主に予算の使用を予定していたが、組織検体採取の取り決めの策定に時間を要したこと、及び研究者が産休・育休を取得したことによる研究中断から研究に遅れを生じ、組織検体採取に至ることができなかったため、使用に至らず、今年度に計画を繰り越すこととなった。今年度は前年度に計画していたヒト組織でのDNAメチル化酵素の発現確認と併せて、真珠腫上皮増殖に関わるDNAメチル化酵素のターゲット遺伝子の絞り込みに予算をさく予定である。
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