2018 Fiscal Year Research-status Report
RPE65遺伝子変異網膜色素変性に対する9-シス-レチノイドによる視細胞保護効果
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17K16954
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
毛内 奈津姫 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (20748769)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 / レチノイド / 9-シス-レチノール / 9-シスーレチナール |
Outline of Annual Research Achievements |
RPE65遺伝子異常にともなう網膜色素変性に対して9-cis-retinalの全身投与の効果を検証することを最終目的として、その投与効果の評価に光干渉断層計と網膜電図を用いる事を計画している。当該年度ではまず、RPE65ノックアウトマウスを対象に網膜変性の自然経過を光干渉断層計と網膜電図にて経時的に定性および定量的な観測を施行した。定性的観察の結果、RPE65ノックアウトマウスでは生後30日頃から光干渉断層計所見にて視細胞外節内節層の高輝度化が開始され、その時期に一致して杆体視細胞外節構造が崩壊している所見が電子顕微鏡にて確認された。その後も外節内節層の高輝度化は不変であったが、生後49日目の電子顕微鏡所見では外節微細構造は正常となっているものの外節長の不揃いの所見が観察された。定量的観察では視細胞の核が存在している外顆粒層の厚が野性型マウスと比較して統計学的に有意に菲薄化していた。また、視細胞外節内節層にも変性の進行に伴う層厚の統計学的に有意な菲薄化がみられた。両層の比較では外顆粒層は進行性に菲薄化が進んだのに対して、視細胞外節内節層厚は生後30日にての層厚が生後170日まで保たれるという非進行性の経過を示した。全視野網膜電図による全視野刺激での機能的評価では、生後30日目にはすでにa波、b波とも高度に低下しており、視細胞の機能障害が高度であることを示唆していた。これら一連の研究成果は今後の薬物投与実験の際に有用な情報となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9-cis-retinalの全身投与によるRPE65遺伝子異常に基づく網膜変性への治療効果を検証する前段階として、RPE65ノックアウトマウス網膜変性の自然経過を観察して、薬物投与の時期の選択や、薬物効果の程度を判定する基礎データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
RPE65ノックアウトマウスに9-cis-retinalを全身投与してその後の光干渉断層計と網膜電図所見を非投与の自然経過(RPE65ノックアウト)変性マウスでの所見と比較することで薬物の視細胞保護効果を検証することとしている。
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Research Products
(3 results)