2019 Fiscal Year Research-status Report
RPE65遺伝子変異網膜色素変性に対する9-シス-レチノイドによる視細胞保護効果
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17K16954
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
前田 奈津姫 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (20748769)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 / RPE65 / 9-シスーレチナール / 光干渉断層計 / 網膜電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
視細胞における光感受性物質である11-シス-レチナールを網膜色素上皮にて生合成する経路で働く酵素のひとつであるRPE65はその遺伝子変異によってレーバー先天盲や網膜色素変性の原因となることが知られている。我々の研究室ではRPE65欠損マウスの供与を受け、その病態の研究を行ってきた。本研究の初期段階ではRPE65欠損マウスにおける網膜変性について光干渉断層計、網膜電図、光学顕微鏡所見および電子顕微鏡所見にて自然経過を追跡してその特徴を明らかにした。その結果、RPE65欠損マウスでは生後7週齢の変性初期に視細胞杆体の崩壊を伴う変性を生じた後、その後は杆体の再生が進み、網膜外層厚の菲薄化は進行するものの、杆体の形態は比較的保持されることが明らかとなった。網膜電図では11-シスーレチナール供給不全による視細胞変性の進行に伴って振幅の低下が著明であった。 引き続いて本研究の後半では、11-シスーレチナール供給不全を9-シスーレチナールの経口補給によってどの程度視細胞変性を抑制できるか否かを解明すべく研究を進めた。生後30日齢のRPE65欠損マウス6頭に食用油に溶解した9-シスーレチナールを経口投与し、2週間後に光干渉断層計(Micron IV)と網膜電図(全視野フラッシュ光刺激暗順応網膜電図、3.0cs/m2) を用いて、網膜および視細胞変性の進行度を対照群との比較にて解析した。その結果、9-シスーレチナール単回経口投与群では対照群に比較して視細胞光受容体層厚および網膜電図振幅ともに有意に保持されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本学大学院医学研究科附属動物実験棟の改修工事の煽りを受けて、実験を計画通り進められなかった時期が長かったため、研究にやや遅れを出している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた研究成果を確実なものにするため、さらに実験を追加したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本学医学研究科附属動物実験棟の改修工事により動物実験に遅れがでたため、研究期間を1年延長して実験を続けることとした。これにより、延長した研究期間に次年度使用額を執行する計画とした。
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Research Products
(7 results)