2018 Fiscal Year Research-status Report
カルパイン抑制ペプチドによる網膜変性遅延効果の光干渉断層計(OCT)による解析
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17K16955
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高橋 静 弘前大学, 医学研究科, 助教 (00747925)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 / カルパイン / RCSラット / ミトコンドリアカルパイン / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素変性のモデル動物であるRCS (Royal College of Surgeons) ラットの網膜変性において変性進行過程と並行して網膜内カルパイン活性が高くなっていたことから、網膜内での視細胞変性にカルパインが関与していることが,以前の我々の研究室にて行った研究によって強く示唆された。その研究を受けて、ミトコンドリアカルパイン1を特異的に阻害するペプチドを開発して、そのペプチドによる視細胞変性遅延効果をみたところ、ラット眼球であれば点眼によっても分子量2000程度のペプチドも視細胞や視神経乳頭に送達できることを我々の研究室にて報告した。しかし、ペプチドの自然分解速度も速く、点眼による効果を持続させるためにはその半減時間から推定して1日4回の点眼が必要となり、将来の慢性疾患への治療の応用としては頻回過ぎているため、実臨床では患者のアドヒアランスがよくないと考えられた。本研究ではカルパイン阻害ペプチドを徐放するデバイスを作成して、それをRCSラットの眼球結膜下に埋植することで持続的に強膜外へペプチドを放出して経強膜的にペプチドを眼球内に送達することを目的とした。まず、RCSラット網膜変性の自然経過を明らかにするために、無処理RCSラットを用いてその網膜変性の自然経過による変性進行過程を光干渉断層計と網膜電図および組織所見と電子顕微鏡所見とから解析した。当該年度はカルパイン阻害ペプチドの徐放デバイスを作成し、それをまず副作用や合併症の有無を検証するため、野性型RCSラットの眼球結膜下の強膜上に埋植して、カルパイン抑制ペプチドの持続的な眼球内への浸透を図った。その結果、ペプチド徐放デバイス埋植は野性型RCSラットにおいて、光干渉断層計、網膜電図ならびに組織所見とも網膜への傷害を来たらせないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルパイン阻害ペプチド徐放性ペプチドを安全確実にラット球結膜下に埋植できることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
カルパイン阻害ペプチド徐放デバイスを変性型RCSラットの球結膜下に埋植して変性進行遅延効果がみられるかどうかを光干渉断層計、網膜電図、組織所見および電子顕微鏡所見から解析する予定である。
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Research Products
(3 results)