2017 Fiscal Year Research-status Report
マウス緑内障モデル動物の網膜神経節細胞死における転写因子Sp1の関与
Project/Area Number |
17K16956
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津田 聡 東北大学, 大学病院, 助教 (60791093)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 網膜神経節細胞死 / Sp1 / 神経保護 / 緑内障 / リアルタイムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス軸索挫滅モデルにおいて転写因子Sp1を阻害することによって網膜神経節細胞死が促進されるかどうかを、より生理的な環境下で評価することを目的として、申請者がこれまでの研究において開発した、蛍光プローブと走査型共焦点ダイオードレーザー検眼鏡を用いた簡便で短時間で実施可能なマウス視神経挫滅モデルにおける網膜神経節細胞死の生体内リアルタイムイメージングシステム(Tsuda,et al. Exp Eye Res 2016)により網膜神経節細胞の死細胞数数を定量的に評価した。その結果、Sp1阻害剤投与群はコントロール群に比較して、有意に網膜神経節細胞の死細胞数が増加することが明らかとなった。 また、Sp1阻害剤投与時における網膜神経節細胞死の分子機序を明らかにするため、まずはセルソーターによる網膜神経節細胞単離の条件について検討をおこなった。具体的には、AAV2/2-CMV-mCherryを硝子体内に投与し、4週間後に眼球を摘出して網膜を観察したところ、網膜神経節細胞層に蛍光タンパクの発現を認めたことから、網膜神経節細胞がmCherry陽性に染色されていることが確認できた。続いて、セルソーターによる網膜神経節細胞単離の条件検討をおこなった。mCherry陽性細胞ソーティング後の細胞集団を蛍光顕微鏡で観察し、回収した細胞のほとんどがmCherry陽性であることを確認できた。また、回収した細胞からRNAを抽出しqPCRをおこなったところ、網膜神経節細胞のマーカーであるThy1.2およびBrn3a陽性であることを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的であった疾患モデル動物へのSp1阻害剤投与による細胞死のイメージング評価ができており、なおかつ分子病態解析のツールであるセルソーティングの条件検討も概ね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
Sp1阻害剤は標的遺伝子が多岐に渡るため、下流の分子解析が困難であることが予想される。そのため、解析の対象をSp1の下流にあるいくつかの候補分子に絞って解析することを検討している。候補のひとつとして、軸索挫滅時に網膜神経節細胞に強く誘導され、かつSp1阻害剤により発現誘導阻害が申請者により確認できている因子であるEcel1を考えている。Ecel1は細胞保護効果の可能性が報告されており、検証の価値があると考えている。
|
Causes of Carryover |
本年度のセルソーターによるRGC単離の実験を進める。さらに、Sp1の標的下流因子であるEcel1をCRISPなどにより阻害し、その影響を評価する。
|