2017 Fiscal Year Research-status Report
サルコイドーシスぶどう膜炎における感染概念からの病態解明
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17K16978
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
永田 健児 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00457988)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Propionibacterium acnes / サルコイドーシス / 前眼部OCT |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)Propionibacterium acnes (P. acnes)が眼サルコイドーシスに関与するかどうか検討するため、網膜生検を実施しP. acnesに特異的なPAB抗体による免疫組織化学での検討を行い、サルコイドーシスの症例は82%の症例において網膜内にPAB陽性の円形体を認めた。一方コントロール群では1例も検出さず、P. acnesの眼サルコイドーシスへの関与を強く示唆する結果が得られた。本研究の論文投稿において、コントロールの追加の必要性を指摘されたため、サルコイドーシス以外のぶどう膜炎症例において追加実験を行った。その結果でもコントロール群では全例でP. acnesは検出されず、サルコイドーシスぶどう膜炎にP. acnesが関与することがより強調される結果となった。この結果から、サルコイドーシスに対する新規治療法として抗菌薬治療が考えられ、その効果を検討する。 (2)サルコイドーシスに特異的抗原候補タンパク質の解析については少数例での網羅的解析において9種類のup-regulateされた候補タンパク質と6種類のdown-regulateされた候補タンパク質を検出しているが、さらに多くのサンプルでこれらを解析するため、サンプル採取を行っている。 (3)臨床的に評価項目として種々の項目を行ってきたが、特に前眼部OCTでは新たな知見としてぶどう膜炎のうちVogt-小柳-原田病や急性前部ぶどう膜炎では毛様体剥離の頻度が高く、その剥離の高さが高いことがわかった。一方でサルコイドーシスでは高さは低く頻度は低いものの毛様体剥離が見られる症例も認められることがわかり、今後さらなる他の臨床像や眼内液との解析を組み合わせることで、病態解明や治療につながる可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本研究においてP. acnesがサルコイドーシスぶどう膜炎に関与することが大前提であり、この点につき追加実験を行い、論文掲載に至った。この結果から、次に計画する新規治療法として抗菌薬治療への根拠が整った。 (2)サルコイドーシス特異的抗原タンパク質の解析は、より多くのサンプルで解析することが望ましいと考えられたため、サンプル採取の追加を行っている。 (3)眼内液のサイトカイン解析については、サルコイドーシス以外の疾患のサンプル収集がやや遅れている。症例ごとにサンプル採取の同意を得る必要があり、同意が得られない場合もあることが要因であるが、今後継続していく。 (4)副次的な項目として前眼部OCTで有用な所見が得られた。 以上のように一部は論文掲載されたが、さらなる解析にうつれるようサンプルの収集を含めてもう少し継続が必要であることから概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)抗菌薬治療の検討についてはレトロスペクティブな解析とともに、前向き研究を行っていく。 (2)サルコイドーシスに特異的抗原候補タンパク質の解析については、サンプル数を増やして、これまでに検出されている抗原候補タンパク質について、ウェスタンブロットによる解析を行う。 (3)眼内液のサイトカイン解析についてはサルコイドーシス以外のサンプルを増やして解析する。 (4)副次的に得られた前眼部OCT所見について論文化する。
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Causes of Carryover |
サンプル数を増やすこととしたため、解析が2年目になった項目があるため。次年度に解析を行い、残額を使用予定である。
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