2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of dysfunction of corneal trigeminal nerves in dry eye
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17K16992
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
山下 優香 金沢医科大学, 医学部, 研究員 (40793865)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 角膜 / 冷感受性神経 / 三叉神経節 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドライアイは涙液層の異常やそれに伴う角結膜の炎症などにより、眼表面の不快感や痛み、視覚障害、疲労など様々な症状を呈する慢性疾患であり、これらの自覚症状を抑えることが重要な治療のひとつとなっている。本研究では、眼部不快感を誘発するメカニズムを解明するため、角膜神経において炎症性メディエータや侵害刺激に対する応答性がドライアイによりどのように変化しているか、またそのメカニズムについて明らかにする。 初年度は、ドライアイモデルモルモットより摘出した角膜標本より、角膜神経の発火をシングルユニット記録して、炎症性メディエータや侵害刺激による神経発火の変化が健常動物の角膜のものと比較してどのように異なるか検討した。その結果、モデル動物の冷感受性角膜神経では、TRPV1アゴニストのカプサイシンに対する反応潜時が有意に短いことを明らかにした。 本年度は初年度の結果に基づき、どのように角膜神経のTRPV1を介した反応が感作されているかその分子機構を検討した。初めに角膜および三叉神経節におけるTRPV1の発現変化をウエスタンブロッティングにより測定した。三叉神経節におけるTRPV1の発現は、健常およびドライアイモデル動物間で変化が見られなかった。また、角膜での発現量は少なく検出できなかった。角膜の免疫染色によって、角膜神経のTRPV1発現を観察したが、健常およびドライアイモデル動物間で大きな変化は見られなかった。本結果から、TRPV1を介した角膜神経の応答亢進は、TRPV1発現量の変化ではなく、TRPV1活性を調節する分子の発現変化やTRPV1のリン酸化修飾が関与していることが予想された。今後、三叉神経節においてTRPV1感作に関連する分子およびTRPV1のリン酸化がどのように変化しているか詳細を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であったドライアイモデル動物における角膜神経の発火活動の変調を引き起こす分子機構解析に着手できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
角膜神経におけるTRPV1の感作を引き起こす分子機構の詳細について追究する実験を実施する。
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Causes of Carryover |
実験実施が一部予定より遅れたため次年度使用額が生じた。次年度は、次年度研究計画とともに本年度未着手の実験も実施するため、繰越金も含めた全額を使用する予定である。
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