2018 Fiscal Year Research-status Report
Non-invasive diagnostic methods using digital PCR for childhood cancers
Project/Area Number |
17K17002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
栗原 將 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (40724894)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児腫瘍学 / リキッドバイオプシー / 遊離DNA / 神経芽腫 / 肝芽腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から継続して、1990年から同意を得て保存しえた神経芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫症例の外科的切除腫瘍および、術前と術後の血漿(血清)、骨髄、腹水、胸水が保存されている症例97例を対象に以下の検討を行った。 1.遺伝子変異スクリーニング:既に遺伝子異常が判明している腫瘍の腫瘍由来のDNAと診断時血漿(血清)由来遊離DNA(cfDNA)、次世代シークエンサー(Cancer Panel等)にて遺伝子異常の測定を行った。その結果、遺伝子変異は98%検出できたが、miRNA発現との相関は乏しかった。神経芽腫のMYCN遺伝子増幅の検出では、腫瘍DNAに比べ、cfDNAのコピー数が高く、腫瘍細胞自体のコピー数を反映していた。また、cfDNAを用いたデジタルPCRで神経芽腫のALK変異、肝芽腫のβ―カテニンエクソン3の変異と欠失を検討し、腫瘍組織のデータと照合したところ、前者は95%、後者は98%の一致率であった。MYCN増幅例では全摘後検出されなくなり、一方、再発例では全例検出され、再発予測の指標としての有効性が示唆された。 2.キメラ遺伝子検索: キメラ遺伝子が検出されている肉腫症例において、腫瘍キメラ遺伝子の部位から、特異的なPCRプライマーとプローブを設計し、fDNAをデジタルPCRを用いて検索し特異的部位についての検出は可能であったが、検出率は62.5%にとどまった。 3.遊離RNA(cfRNA)の検索: 体液特に血液中のcfRNAキメラ遺伝子の定量をデジタルPCRを用いて試みる系の策定行ったが、cfRNAからのcDNA生成が不安定で検出法に問題が残った。 以上から、血漿中cfDNAを用いたデジタルPCR法は小児がんのリキッドバイオプシーとして有効である一方、cfRNAについては更なる検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.遺伝子変異スクリーニング:既に遺伝子異常が判明している腫瘍の腫瘍由来のDNAと診断時血漿(血清)由来遊離DNA(cfDNA)を用いた次世代シークエンサー(Cancer Panel等)にて遺伝子異常をスクリーニングとデジタルPCRでの検証は順調であったが、miRNA発現が腫瘍と血漿中のものに相関が少なかった以外は順調であった。 2.MYCN遺伝子増幅:MYCN遺伝子増幅は、腫瘍DNAに比べ、血漿cfDNAのデジタルPCRでの増幅率はかえって高く、予想と相違した結果でありその有用性が示唆された 3.遺伝子異常検索: 血漿由来cfDNAを用いて神経芽腫でのALK変異について、デジタルPCRでの検出、肝芽腫で高頻度に見られるβ―カテニン異常のうちエクソン3の変異のある症例の血漿(血清)cfDNAを用いた2プローブデジタルPCR法でその検出は順調であった。 4.キメラ遺伝子検索: 横紋筋肉腫、ユーイング肉腫腫瘍のキメラ遺伝子が検出されている症例において、腫瘍キメラ遺伝子の部位から、特異的なPCRプライマーとプローブを設計し、血漿(血清)、胸水などの体液由来cfDNAをデジタルPCRを用いて検索し、検出可能であったが、検出率は62.5%とやや低かった。 5.遊離RNA(cfRNA)の検索: 体液特に血液中のcfRNAやエクソソーム由来RNA を用いて、腫瘍特異性が示唆されているキメラ遺伝子の発現定量をデジタルPCRを用いて試みる系の策定行った、cfRNAからcDNA生成が不安定で腫瘍のキメラ遺伝子は7例中2例にのみ検出可能で、今後の課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
血漿遊離DNA(cfDNA)による小児腫瘍の非侵襲的検査法は、高感度なデジタルPCRを用いた検討で、今回の検討でほぼ期待通りの成果であり、今後の臨床応用が可能であると考えられた。これらを、今回用いたがんパネルへの応用、さらに小児がん用のパネルへの応用によってより有用なゲノム医療への展開が期待される。このため、今後はリキッドバイオプシーとして小児がんに有用ながんパネルを用いたゲノム医療すなわち診断や治療薬選択に有用な検査法の検討に発展させる予定である。 一方、miRNAについては腫瘍のものとの相関が乏しく、血漿中のmiRNAは腫瘍以外から由来しているものが含まれており、これらの意義については今後の検討が必要であると考えられた。また、血中遊離RNA(cfRNA)についてcfRNAやエクソソーム由来RNA 等も用いて、腫瘍特異性が示唆されているキメラ遺伝子の定量をデジタルPCRを用いて試みる系の策定行ったが、cfRNAからのcDNA生成が不安定で、腫瘍のキメラ遺伝子は7例中2例にのみ検出可能で、検出法に問題が残った。このため、今後はcfRNAの検索方法についてさらに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
血漿遊離DNA(cfDNA)による小児腫瘍の非侵襲的検査法については順調に成果が得られたが、一方、miRNAについては腫瘍の発現量との相関が乏しく、血漿中のmiRNAは腫瘍以外から由来しているものが含まれており、これらの意義については今後の継続して検討を行うこととした。また、血中遊離RNA(cfRNA)についてcfRNAやエクソソーム由来RNA 等も用いて、腫瘍特異性が示唆されているキメラ遺伝子の定量をデジタルPCRを用いて試みる系の策定行ったが、cfRNAからのcDNA生成が不安定で検出法に問題が残った。このため、miRNAとcfRNAの検索方法についてさらに研究を継続する必要性が生じたため、研究費の一部を次年度以降の使用とした。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] 「術後3年5ヵ月で再手術を要した巨大水腎症の1例 遅発性再発の要因についての一考察」2018
Author(s)
Tanaka M, Kohashi K, Kushitani K, Yoshida M, Kurihara S, Kawashima M, Ueda Y, Souzaki R, Kinoshita Y, Oda Y, Takeshima Y, Hiyama E, Taguchi T, Tanaka Y.
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Journal Title
日本小児泌尿器科学会雑誌
Volume: 27
Pages: 62-87
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[Presentation] Survival and delayed effects of risk-stratified hepatoblastoma patients treated in the JPLT-2 trial2018
Author(s)
Hiyama E, Kurihara S, Ueda Y, Hishiki T, Ida K, Iehara T, Oue T, Yano M, Watanabe K, Hoshino K, Ko K, Tanaka Y
Organizer
2018 ASCO Annual Meeting
Int'l Joint Research
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[Presentation] Decline in serum A-fetoprotein level before tumor resection as a prognostic factor for Hepatoblastoma2018
Author(s)
Hiyama E, Ueda Y, Kurihara S, Aoki Y, Iehara T, Ida K, Kazama T, Kihira K, Takama Y, taguchi T, Hishiki T, Fujimura J, Hoshino K, Honda S, Matsumoto K, Mori M, Yano M, Yokoi A, watanabe K, Tanaka Y
Organizer
50th Congress of the International Society of Paediatric Oncology (SIOP)
Int'l Joint Research