2017 Fiscal Year Research-status Report
肝芽腫組織からの幹細胞様細胞の単離と分化誘導モデルの作成
Project/Area Number |
17K17003
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
磯野 香織 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (10756258)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝芽腫 / 癌幹細胞 / Sphere形成能 / 分化誘導モデル / 分子発現プロファイリング / 動物移植モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
■ 幹細胞性sphere 形成能を有する細胞群の単離 ①2 例の肝芽腫組織サンプルを、肝芽腫部とその周囲の正常部の組織から採取し、幹細胞様細胞の分離法および長期培養条件の検討を行っている。既に、幹細胞に最適化した無血清培地を用いて、肝芽腫部から3 種類、正常部から2 種類の非接着性のsphere 形成細胞を分離し、約5 ヶ月から1 年に渡る継続培養に成功しているが、今後も適宜症例数を増やし、クローン化を検討していく. ②樹立肝芽腫細胞HepG2より、各種の幹細胞特殊培地等の検討を行うことによって、sphere形成能を有する誘導性幹細胞様クローンを作製している。現在までに2クローンの分離に成功し、これらの性状解析をPCRおよびWestern Blotting によって行っている。 ■ 分化誘導モデルの作成と解析 分離したsphere形成細胞の一部には、血清刺激によってcollagen IVコーティングプレートに顕著な接着性が誘導され、経時的に単層で増殖性の形態変化を示すことを確認している。又、Western Blottingによって、肝細胞マーカーが発現誘導されることを確認している。今後もその際の細胞形態の経時的変化の観察(タイムラプス顕微鏡による)、および種々の分子マーカーの発現様式の変動解析等により、幹細胞性、および非幹細胞性癌細胞の性状を詳細に解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幹細胞性sphere 形成能を有する細胞群の培養において、様々な培養条件を検討することによって、ユニークな各種クローンの分離が可能となった。さらなる効率的な増殖技術の獲得が出来れば、予定通り、プロテオミクスを用いた分子プロファイリングへスムースに移行できるのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
■ 継続して各種腫瘍組織、および樹立腫瘍細胞を用いて肝芽腫幹細胞の分離を行う。 ■ 分子発現プロファイリングの作成 免疫染色および2 次元Western Blotting によって、肝細胞マーカー (AFP, ALB, CK18, HNF4α等)、肝前駆細胞マーカー(CK19)、肝/癌/幹細胞マーカー分子群(CD44, CD90, Oct3/4, EpCAM 等)などのマーカーの発現を解析し、分子発現プロファイルを作成する。また、本プロファイルにより分類した細胞グループを用いて、肝芽腫幹細胞から肝芽腫への誘導モデルを作成する。本モデルを用いて、翻訳後修飾を含めた定量的融合プロテオミクスを行い、大規模データマイニングと分子プロファイリングによって、特に分化誘導によって変動の顕著な分子シグナルを検出する。これらの情報を用いてsphere細胞と分化誘導後接着細胞の性質の違いが、腫瘍細胞のどのような分化状態の変化に起因するものかを検討することで、肝芽腫の病態解析に繋げていく。又、これらの情報から、最も治療ターゲットとなる候補分子の絞り込みを行い、特異的阻害剤による性状変化を観察する。 ■ 動物移植モデルの検討 単離した sphere 形成細胞の動物移植モデルを検討することで、肝芽腫のがん幹細胞としての可能性の検証を行う。また、本モデルを用いて肝芽腫の治療モデルとして応用し、検出した治療ターゲット候補分子群の阻害剤などの効果の検証を行うことができるかを検討する。
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Causes of Carryover |
研究はおおむね順調に進んではいるが、平成29年度に予定していた実験の全てを行う事ができなかったため次年度への繰り越し金が発生した。実験の遅れについては、平成30年度4月からの実験補助員の投入等の措置により、取り戻す予定であるため、問題はない。
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