2017 Fiscal Year Research-status Report
DFAT exosomeの難治性炎症性腸疾患に対する新規治療法の開発
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17K17007
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川島 弘之 日本大学, 医学部, 助手 (60645703)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱分化脂肪細胞 / exosome / Tリンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell, DFAT)より抽出した exosomeのヒトTリンパ球に及ぼす影響を確認する目的で、まずhDFAT exosome のTリンパ球増殖抑制能の検討を、ヒト末梢血Tリンパ球との共培養系を用いて確認した。共培養系はhDFAT及びadiposite stem cell (ASC) における直接共培養(direct co-culture)群、およびhDFAT及びASCから抽出したexosomeの添加群を比較検討した。リンパ球増殖能は、ヒト末梢血単核球からCD4 陽性Tリンパ球を単離し、蛍光色素CFDA-SE (carboxyfluorescein diacetate, succinimidylester)にて標識した後、fluorescence activated cell sorter を用いてCFDA-SE の蛍光強度を解析し評価した。リンパ球増殖刺激は抗CD3/CD28抗体とIL-2を用い、4日間刺激した。増殖刺激なしに比べ刺激ありでは、proliferation index (PI)が約2倍増加することを確認し、それぞれをNegative controlおよびPositive controlとした。 ①ヒトDFAT、ASCのT細胞増殖に対する効果 DFAT、ASCを事前に播種した実験区では、DFAT, ASC共に細胞密度依存性にPIの抑制が認められた。 ②ヒトDFAT、ASC 由来ExosomeのT細胞増殖に対する効果 ヒトDFAT、ASC 由来ExosomeのT細胞増殖に対する効果を同様に検討した。その結果、T細胞増殖刺激によるPIの増加は、DFAT-Exo、ASC-Exo添加により用量依存性に抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はhDFATより抽出した exosomeのヒトTリンパ球に及ぼす影響を、リンパ球増殖能として確認した。共培養系はhDFAT及びASC における直接共培養群と、hDFAT及びASCから抽出した exosomeを添加添加した間接共培養群を比較検討した。 当研究施設において、DFATは安定しての調整可能である。そのため研究が滞ることなく遂行可能であった。 また、入念に予備実験を行っていた結果、おおむね予定通りに実験は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
既に報告されている免疫抑制に関与するmiRNAを用い、exosomeの機能解析を行う。また、IBDモデルマウスにhDFAT exosomeを投与し、腸管炎症の改善を検討する。具体的にはSCIDマウスに対して腸管炎症のピークより前に細胞を投与するために、エフェクターT細胞の投与から7日後にhDFAT とhDFAT exosomeを腹腔内投与する。hDFATとhDFAT exosomeの投与後、7、14、21、28日目のマウスの腸管障害度合を、大腸炎重症度スコアを用いて算出し、それぞれの治療効果を評価する。 これらの実験を通じて、hDFAT exosomeの免疫抑制能のメカニズムを解明し、hDFAT exosomeを用いた再生医療の可能性を検討する。
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