2018 Fiscal Year Research-status Report
DFAT exosomeの難治性炎症性腸疾患に対する新規治療法の開発
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17K17007
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川島 弘之 日本大学, 医学部, 助手 (60645703)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱分化脂肪細胞 / Exosome |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell, DFAT)より抽出した exosomeのヒトTリンパ球に及ぼす影響を確認した。 本年度は今後T細胞の分化誘導実験を行うにあたり、より効率的にナイーブT細胞を得られる細胞ソースを決めることを目的として、ヒト末梢血及び臍帯血単核球からCD4陽性細胞を単離し、それらのT細胞分画をフローサイトメーターにて解析した。凍結保存ヒト臍帯血単核球及び健康ボランティアから採取したヒト末梢血単核球をAutoMACS running bufferで懸濁しDynabeads Untouched Human CD4 T cellsを用いた磁器ビーズ法を用いてCD4陽性細胞を単離した。得られた細胞をFITC標識マウス抗ヒトCD4、PE標識マウス抗ヒトCD45RA、APC標識マウス抗ヒトCD62L、PE標識マウス抗ヒトCD25、APC標識マウス抗ヒトFoxP3交代を用いて染色した。それぞれのCD4陽性細胞中のNaive]T細胞と制御性T細胞の割合を、フローサイトメトリーを用いて測定し、FlowJo解析ソフトウェアで解析した。CD4陽性T細胞に占めるナイーブT細胞の割合を測定した結果、ヒト末梢血単核球では44.4%、ヒト臍帯血単核球では90.7%であった。またCD4陽性T細胞に占める制御性T細胞の割合は、ヒト末梢血単核球では3.0%、ヒト臍帯血単核球では0.4%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画から大きく遅れることなく実験を進めている。これまでに得られた知見をもとに、今年度からはIBDモデルマウスを作製し、実験動物を用いた実験系を遂行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はT細胞のうち制御性T細胞への分化能に対する効果について、DFATおよびASCで確認していく。さらにそれぞれから由来するExosomeにおいても同様に検討する。免疫抑制に関わるmiRNA(miR146a、miR155)がすでに報告されているが、hDFAT exosomeにて、miR146aとmiR155の発現がみられることをRealtime PCRにて確認する。miR155はLPSなどの抗原刺激に応じて、炎症性サイトカインを誘導し、炎症を惹起する。一方、miR146aは炎症性サイトカインを制御する働きを持ち、miR146aとmiR155は相対する働きを持つことが報告されており、hDFAT exosomeでは、免疫抑制を誘導するmiR146aの発現が高く、炎症を惹起するmiR155の発現が低いことが予想される。そこで、hDFATに対しsiRNAを用いて、miR146aの遺伝子発現を抑制し、miR146aの発現が低いhDFAT株を作製する。miR146aの発現が低いhDFAT株より抽出したexosomeを用い、リンパ球増殖抑制能が減少し、naïve T細胞から制御性T胞への分化誘導能が低下することを確認する。 また今までの研究結果を踏まえ、本年度からは実験動物を用いた実験をおこなう。hDFAT とhDFAT exosomeの腹腔内投与は、エフェクターT細胞の投与から7日後に行う。hDFATとhDFAT exosomeの投与後、7、14、21、28日目のマウスの腸管障害度合を、大腸炎重症度スコアを用いて算出し、それぞれの治療効果を評価する。
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