2018 Fiscal Year Research-status Report
腸管神経堤由来細胞遊走に対する細胞外マトリックスの役割
Project/Area Number |
17K17008
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
安井 良僚 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10595325)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸管神経堤由来細胞 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管神経系は、腸管神経堤由来細胞(ENCCs)が口側から肛門側に遊走する事で形成される。この遊走が阻害されると、ヒルシュスプルング病(HSCR)を引き起こす。HSCRは外科的切除が必要となるが、手術後、腸炎および大便失禁などの副作用が生じる。したがって、ENCCsを使った細胞補充療法の開発が望まれているが、その定着効率は限定的であることから実現に至っていない。我々は本課題で、漿膜に発現するVI型コラーゲンが、フィブロネクチン依存性の腸管神経細胞遊走を抑制することを明らかにした。そこで、ENCCsの移植効率を高める手法として、腸管表面のコラーゲンⅥをコラゲナーゼ処理して除去すると移植細胞の定着率が向上するか調べた。8週齢マウスの結腸を摘出し、腸管に腸管神経幹細胞を移植し3~7日in vitroで培養して移植神経細胞の定着率や遊走範囲を調べたところ、コントロール群にくらべコラゲナーゼ処理群では有意に上昇したことが確認された。さらにコラゲナーゼ処理したのちに遊走促進因子であるフィブロネクチンを付加して移植した群では腸管平滑筋から粘膜下層まで遊走していることが確認された。これらの結果は、腸管壁の細胞外マトリックスを調整することで移植効率を向上させられる可能性があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究結果から、腸管神経節異常症に対する新しい治療法の開発の可能性を示すことができたことから、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではin vitroの実験を行ってきたが、同様の結果が生体マウスでも得られるか検証するため、in vivoの実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
移植に用いる腸管神経堤由来細胞を得るための遺伝子改変マウスの妊娠の頻度が想定より下回ったため、若干の実験計画の遅れが生じたため残額が生じたが、想定範囲内の遅れであり、課題の進行に支障はきたしていないと考えている。差額分は同実験で使用する神経堤由来細胞の培養液の購入に充てる予定である。
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