2017 Fiscal Year Research-status Report
骨形成能を有する生体吸収性マグネシウム合金の可能性-骨代謝に与える影響の検討-
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17K17010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 千絵子 東北大学, 大学病院, 助教 (80509240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再建外科学 / 骨接合デバイス / マグネシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
顎顔面領域の骨固定材として、現在流通しているチタン製と吸収性高分子材料製の双方の欠点をカバーする第3の素材として、マグネシウム合金が注目されている。本研究では、マグネシウム合金の生体内分解挙動と、合金周囲組織の反応の病理組織学的観察に加え、骨形成能に関して重点的な検討を行い、将来的に吸収性金属製プレートに骨形成能を持たせることを目標とした。平成29年度は、in vitroにおいてマグネシウム合金を ①生理食塩水 ②疑似体液(T.Kokubo et al.,1990)③疑似体液+牛胎児血清 の溶液中にそれぞれ浸漬し、1、2、3、4週間経過後、浸漬したマグネシウム合金に対してマイクロCT撮影を行い、合金の分解量を定量的に評価するとともに、分解様式を形態学的に分析した。またin vivoにおいてラットの複数個所にマグネシウム合金を埋入し、部位の特性によるマグネシウム合金の分解挙動の差を組織学的評価と合わせて検討した。in vitroにおいては、生理食塩水中に比して擬似体液群の分解速度が低下した。またin vivoにおいては、腹腔内における分解速度が最も早く、ついで頭部骨膜下、背部皮下組織と早い分解を示した。一般的に血流が多い部位では分解が早いとされるが、血流が多い筋肉組織内では分解は最も遅かった。病理組織学的には、頭部骨膜下において厚い未熟な被膜組織が形成されており、これらの被膜の血流も分解に関与する可能性が示唆された。血液、尿分析では明らかな為害作用を認めず、生体安全性に問題がないものと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに実験、解析を行うことが出来た。平成29年度の結果をもとに平成30年度に予定していた実験・解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Mg合金は、骨形成を促進する作用を持つと言われている。また骨形成には血管新生が必須である。平成30年度は、主に骨形成と血管新生に対するMg合金の作用を検討する。具体的にはin vitroで血管内皮細胞および骨芽細胞の培養試験を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額には、今年度の研究を効率的に進めた事に伴い発生した未使用額であり、平成30年度請求額と合わせ、平成30年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)