2017 Fiscal Year Research-status Report
LTBP-4タンパクフラグメントを用いた弾性線維含有基質再生の基礎的研究
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17K17014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
綾 梨乃 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (90469643)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 弾性線維 / LTBP-4 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において弾性線維の再生促進作用が確認されている全長のlatent TGF-β binding protein 4(以下LTBP-4)リコンビナントタンパクをポジティブコントロールとしてLTBP-4フラグメントタンパクの弾性線維再生促進作用について実験を行った。 部分フラグメントの発現ベクターを293T細胞に導入してLTBP-4のN末+C末のフラグメントタンパクを精製した。インフォームドコンセントを行った上で同意を得て採取したヒト皮膚由来の線維芽細胞を平面培養する培地に全長のLTBP-4リコンビナントタンパクを添加する郡と、N末+C末フラグメントタンパクを添加した郡およびタンパクを添加しない郡に分け、2週間培養後に免疫組織学的染色を行い、弾性線維の形成状況を確認した。N末+C末タンパクフラグメントについては、まず凍結保存していたものを用いて検討した結果、弾性線維再生促進作用が認められなかったため、凍結保存しない精製直後のタンパクフラグメントについても検討したが、弾性線維再生促進作用は認められなかった。
この検討と並行して、LTBP-4リコンビナントタンパクを複合化したコラーゲンスポンジにおける弾性線維再生促進作用についても検討を行った。我々が報告した線維芽細胞の3次元培養によって弾性線維の形成が可能なコラーゲンスポンジにリコンビナントLTBP-4を含浸して再凍結乾燥してLTBP-4複合化基材を作成し、免疫組織学的染色にて基材にLTBP-4が局在していることを確認した。また、LTBP-4複合化基材において線維芽細胞を3週間培養後に免疫組織学的染色を行った結果、LBTP-4を複合化しない基材と比較して弾性線維の再生が促進されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LTBP-4タンパクフラグメントを精製する方法は確立された。 弾性線維再生促進作用をもつLTBP-4タンパクフラグメントの型については引き続き検討を要する。 線維芽細胞の3次元培養の手技も確立しており、LTBP-4複合化基材は弾性線維再生促進作用が確認され、よい結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
弾性線維再生促進作用を有するLTBP-4タンパクフラグメントの型の検討を行う。 本年度の研究によりN末+C末のみでは弾性線維再生促進作用を有さないことが判明したため、それ以外の部位を含む異なる長さのタンパクフラグメントによる検討を行う。
LTBP-4複合化基材については、複合化するLTBP-4の濃度の検討や保存期間、保存方法による弾性線維活性の変化について検討する。 また、in vivoにおける作用についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
細胞組織培養、細胞生物・生化学試薬等は、培地、添加剤、培養容器・器具については当初見積りしていたよりも使用量が少なかったが、次年度にもフラグメントタンパクの型の検討等を行う必要がある。 また、上記の検討がすすめば本年度行えなかったReal-time PCRなどを次年度に行う必要があり、これらのことに使用していく計画である。
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