2017 Fiscal Year Research-status Report
Three-dimensional analysis of the lymphaticovenular anastmosis postoperative change
Project/Area Number |
17K17016
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野田 聡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00423301)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | マイクロサージャリー / リンパ管静脈吻合 / 動物実験モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のマイクロサージャリー技術の発達により、リンパ管静脈吻合術(以下:LVA)が広く普及して来ている。LVAはリンパ液の生理的な還流が可能なること、非常に低侵襲な術式であること、浮腫症状の改善に加えて蜂窩織炎の予防効果も期待されることなどから多くの施設でリンパ浮腫の外科的治療の第一選択の術式となっている。一方、LVAに関しては、手術の適応・吻合数・吻合様式・吻合部位など術式に関する詳細が施設毎に大きく異なり、スタンダードな様式が無い。この為、LVA術後の浮腫軽減や蜂窩織炎の発症予防の発現機序や術後リンパ管と静脈の吻合部の組織学的な変化など、術式に関する根本的な部分にも不明点が多い。 これらの現状を踏まえ、我々は2015~16年度の科学研究費補助金を用いた研究により、簡易的なLVAの動物実験モデルを作成し、LVA術後組織学的変化の詳細について検討を行った。この結果、吻合部内膜下組織の内腔への露出が吻合部閉塞の主要原因であることを解明した。一方、LVAにおいてはリンパ管と静脈の吻合様式が各種報告されており、どの吻合様式が最も生理的で長期間吻合部の開存を保つことが可能かに関して、一定の見解が得られていない。この為、国内でLVAの手術数が多い代表的な施設間でも手術の様式は全く異なり、各施設で様々な方法でLVAが行われている。一方、これらの吻合様式を比較する際に、術者の技術的な要素を排除するためには、先行研究の様な組織学的検討が必須である。しかしながら、過去に検討を行った端々吻合術以外の吻合様式においては、1断面で吻合全体を含む標本を作製することが出来ず、光学顕微鏡や透過型電子顕微鏡による観察は困難であった。今回、過去の経験を踏まえ、走査型電子顕微鏡による経時的な吻合部の3次元的変化の組織学的検討を行うこととした。今年度はラットにおけるリンパ管、静脈の結合織分解酵素の作成を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リンパ管静脈吻合術後の3次元解析を行う前提条件として、リンパ管及び静脈周囲に存在する結合織を分解する酵素の作成が必須である。この場合、結合織を分解しつつリンパ管及び静脈に影響を与えない成分、濃度の調整が必要となるが、この成分の同定を行っている段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの実験成果も含めて明らかになった知見を学会にて報告していく予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度に使用したラットが予想よりも少なかったため。 また、今後は必要に応じて組織分解に必要な酵素や走査型電子顕微鏡の使用に必要な物品の購入に充てる予定である。
|